六訂版 家庭医学大全科 「吐き気がある、嘔吐した」の解説
吐き気がある、嘔吐した
はきけがある、おうとした
Nausea, vomiting
(お年寄りの病気)
どのような状態か
吐き気とは、上腹部を中心に起こる不快感のひとつであり、嘔吐しそうなムカムカとする感じをいいます。嘔吐は、胃内の食物や消化液を口から吐くことを意味します。
吐き気や嘔吐は、①胃や腸に異常のある場合、②嘔吐中枢の存在する
必要な検査と疑われる病気
胃や腸の病気は、ほとんどすべての病気で吐き気や嘔吐を起こす可能性があります。頻度の多いものとして胃炎、胃潰瘍(いかいよう)があり、これらの病気を診断するには多くの場合、胃内視鏡検査が必要です。急に嘔吐を起こす胃腸の病気としては腸閉塞(ちょうへいそく)が代表的で、腹痛と嘔吐を来し、早急にX線検査を行って治療を始める必要があります。
そのほか、中枢神経系(脳)の病気を疑う時には脳のCTを行うことになります。それ以外の病気では、血液検査や耳鼻科的な耳の検査が必要になることもあります。
家庭での対処のしかた
吐き気、嘔吐があり、下痢や腹痛を伴っていれば胃腸の病気のことが多く、腸閉塞以外に胃炎や食中毒などの腸の感染症も多くみられます。吐き気や嘔吐が強く食事が食べられない場合や腹痛が強い場合は、医療機関への受診をすすめます。
朝方に吐き気を伴わずに嘔吐が起こり頭痛を伴う場合には、脳神経系の異常によることが多く、脳出血や
腎臓や肝臓の病気、糖尿病の一部の例では吐き気や嘔吐を起こしますが、この場合は吐き気以外に症状のないことも多いため、これらの症状が3~4日以上続いたら、必ず医療機関を受診し、検査を受けましょう。
寝たきりの高齢者の場合には、嘔吐したものを気管や肺に吸い込んでしまい呼吸困難となったり、肺炎を起こすことがあるため注意が必要です。
木下 芳一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報