吹替・吹代(読み)ふきかえ

精選版 日本国語大辞典 「吹替・吹代」の意味・読み・例文・類語

ふき‐かえ ‥かへ【吹替・吹代】

〘名〙 (「ふきがえ」とも)
貨幣や金属具などを溶かして鋳直すこと。また、その鋳直したもの。ふきあらため。改鋳
御触書寛保集成‐三二・宝永七年(1710)四月「先年吹替より以前之古金所持之者は、勝手次第新金と取交
② 歌舞伎の早替わりで、替わる両役が同時に舞台に登場する時、その俳優に似せた他の俳優を身がわりに用いること。また、その身がわりの俳優。
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕楽屋より吹かへの久枩出来り」
③ 歌舞伎で、死骸になったり投げ落とされたりする時、役者にかえて舞台に出す人形。竹かごの上を紙で細工し、衣装をつけてある。
※歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)四幕「着てゐたる蓑を脱いで十次郎に冠せ、姿の見えぬやうにして、横抱きに抱へる。この時吹替へになる」
④ 転じて、一般に代わりのもの。替え玉。また、すりかえたもの。
浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油屋「お前が内から拵へてござったふきかへの贋金
賭博(とばく)で、正しい札や采(さい)を不正なものと巧みに取り替えること。また、その不正な札や采。
※浄瑠璃・歌枕棣棠花合戦(1746)三「道理で二ぞろを十三ばい、吹かへでやりおった」
映画テレビなどで、主役の代わりをつとめる俳優。替え玉。スタンドイン
※夢声戦争日記〈徳川夢声〉昭和一七年(1942)五月二四日「今日の撮影、カマさんエノケンと二人ともフキ替え」
⑦ 外国映画、テレビなどのせりふを自国語に翻訳して吹き込むこと。また、その声優
ゴメスの名はゴメス(1962)〈結城昌治〉一「これはフランス語の吹きかえでベトナム語の字幕つきだ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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