周波数の異なる二つの交流電力系統を連係(連系)する変電所。50ヘルツの電気を60ヘルツに、あるいは60ヘルツの電気を50ヘルツに変換する周波数変換設備が設置されている。周波数変換設備の基本構成は1組のバルブと高調波フィルターからなっている。バルブは、任意の時間に電流をオンオフする機能をもつサイリスタ(あるいはその他の電力用半導体)を使用した交直変換器である。電流のオンオフのタイミングを適当に制御することにより、交流の電気を直流に変換する順変換器(コンバーター)として動作させたり、直流の電気を交流に変換する逆変換器(インバーター)として動作させたりすることができる。このため、一方の交流電力系統の電気を順変換器動作によっていったん直流の電気に変換したのち、逆変換器動作によってもう一方の電力系統の周波数にあった交流の電気に変換すれば、周波数の異なる二つの交流電力系統を連係し、あたかも一つの交流電力系統であるかのごとく相互に電力を授受することができる。高調波フィルターは、バルブの運転によって発生する高調波を吸収し、高調波が変換所外部へ流出して障害を引き起こすのを防止するものである。
交流電力系統は、各地に点在する発電所で発生した電力を需要家に供給するシステムであるが、系統規模が大きいほど質のよい電気を効率的に供給できるため、通常、各地域ごとに周波数が統一されている。しかし、日本においては、電気事業の初期、東京ではドイツから50ヘルツの発電機、大阪ではアメリカから60ヘルツの発電機を輸入して電力系統を構築したこと、第二次世界大戦後の電力需要の急激な増加のため全国的な周波数の統一が実現できなかったことなどにより、本州中央部を境に50ヘルツ系統と60ヘルツ系統に分かれる結果となった。このため1965年(昭和40)に佐久間(さくま)周波数変換所、1977年に新信濃(しんしなの)周波数変換所、2006年(平成18)に東清水(ひがししみず)変換所が運用開始され、50ヘルツ系統と60ヘルツ系統が常時3地点、合計100万キロワットの容量で連係されるようになっている。全国規模の系統の連係が実現し、電気の質の向上と経済性の追求に大きく寄与しているが、2011年の東日本大震災以降、東西間の融通電力を拡大するため、さらなる増設が検討されている。
[内田直之]
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