日本大百科全書(ニッポニカ) 「周立波」の意味・わかりやすい解説
周立波
しゅうりつは / チョウリーボー
(1908―1979)
中国の小説家。本名周紹儀。湖南(こなん/フーナン)省益陽(えきよう/イーヤン)県の人。上海(シャンハイ)労働大学に学ぶ間に、中国共産党に入党。労働運動に参加して投獄されたこともある。ショーロホフの長編『開かれた処女地』の翻訳に従事し、『毎周文学』編集にあたった。日中戦争中、延安(えんあん/イエンアン)の魯迅(ろじん)芸術文学院で教鞭(きょうべん)をとり、『晋察冀(しんさつき)辺区印象記』『第一夜』『雀』などを書いた。解放後、東北(とうほく/トンペイ)の土地改革を描いた長編『暴風驟雨(しゅうう)』(1948)でスターリン文学賞を受賞した。長編『山郷巨変』は同作品の姉妹編で、湖南省のある農業生産合作社が舞台となっている。このほか、石景山(せきけいざん/シーチンシャン)鋼鉄廠(しょう)における体験を中編小説化した『鉄水奔流』(1955)や『周立波選集』(1959)などがある。
[前田利昭]
『鹿地亘・安島彬訳『暴風驟雨 上』(1951・ハト書房)』▽『西城秀枝訳『中国革命文学選 山郷巨変』上中下(1964~65・新日本出版社)』▽『三好一・池田幸子訳『奔流』(1956・三一書房)』