和泊(読み)わどまり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「和泊」の意味・わかりやすい解説

和泊(町)
わどまり

鹿児島県大島郡にあり、沖永良部島(おきのえらぶじま)の東半分を占める町。1941年(昭和16)町制施行。隆起サンゴ礁の島で、海岸には裾礁(きょしょう)もみられる。和泊港は沖永良部島の海の玄関で、国頭(くにがみ)には空港がある。中世、琉球王国(りゅうきゅうおうこく)に属したが、近世初頭の島津氏琉球侵略以後は薩摩(さつま)藩領。農業が中心で、ユリフリージアなどの花卉(かき)類、サトイモジャガイモエンドウなどの野菜類、サトウキビの栽培のほか、肉用牛の飼育が盛んである。とくにえらぶユリは明治後期に自生していたテッポウユリを栽培化し、品種改良を重ねてきたもの。内城(うちじろ)にある琉球式の世之主(よのぬし)(島主)の墓は県史跡となっている。面積40.39平方キロメートル、人口6246(2020)。

[平岡昭利]

『『和泊町誌 民俗編・歴史編』(1984、1985・和泊町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「和泊」の意味・わかりやすい解説

和泊[町] (わどまり)

鹿児島県大島郡の町。人口7114(2010)。沖永良部(おきのえらぶ)島の北東半を占める。隆起サンゴ礁で覆われた平たんな段丘状の地形で,最高所の越山(こしやま)(188m)のみは古生層からなる。総面積の半分以上が耕地で,1戸当り平均耕地面積や1戸当り農家所得が県下では上位に位置する農業中心の町である。サトウキビ栽培を中心にエラブユリ(テッポウユリ),フリージアなどの球根栽培,サトイモ栽培,肉牛肥育などが行われる。中心集落の和泊は島の海の玄関口であり,フェリー貨客船が発着する。東端の国頭(くにがみ)岬には沖永良部空港があり,鹿児島市および奄美大島,与論島と結ばれる。琉球北山王の子世之主の墓や,1862年(文久2)この地に流された西郷隆盛に関係のある多くの史跡がある。
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百科事典マイペディア 「和泊」の意味・わかりやすい解説

和泊[町]【わどまり】

鹿児島県大島郡,沖永良部(おきのえらぶ)島の東半部を占める町。ほとんどが低い平地で,海岸はサンゴ礁に囲まれる。交通不便の地であったが,港湾・空港が整備され,鹿児島市と連絡。サトウキビ,ユリ,パイナップルを産し,製糖工場がある。畜産も盛ん。1862年この地に流された西郷隆盛ゆかりの多くの史跡がある。40.39km2。7114人(2010)。

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