土堤,城壁,木柵,堀などによって市街地を囲んだ都市。囲郭を築く目的は,軍隊の攻撃に対する防御,盗匪に対する防衛,城門における徴税,交通の規制などであるが,防風,砂漠から移動してくる砂の阻止,洪水に対する防御や避難場所としても役立った。治安の確立していなかった古代・中世起源のもので,中国,インド,アラブ地域,ヨーロッパなどに多く分布し,日本や新大陸には少ない。中国の城,古代インドにおける王宮や政治中心と規則正しい街区を持つ都市,ローマのカストルムのように,その地方の支配者によって築かれた政治・軍事の中心都市が多いが,中世ヨーロッパでは囲郭はおもに市民によって建設・維持され,領主はその一角に城砦を持った場合が多い。都市の成長に伴い,郭外へ市街が発展したり,パリのように年輪状に城郭が外へ拡張されたり,民族による分離居住が相隣る囲郭として配置されることも多い。日本では,堀や自然河川による市街地の囲郭はみられるが,京都の土囲いなどを除くと,市街地全体を囲む城壁の類はまれであった。
→城
執筆者:齋藤 光格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…その後は交易路に沿う都市的集落が生まれ,さらに政治権力の集中地や港に新しい都市が次々と発生していった。
[囲郭都市と無囲郭都市]
上述の太古の都市はおおむね城壁で囲まれていた。もちろんそれは周辺の遊牧民の侵入を防ぐものであるとともに,都市の周辺の農耕民にとって象徴でもあった。…
※「囲郭都市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加