囲郭都市(読み)いかくとし(英語表記)walled town

精選版 日本国語大辞典 「囲郭都市」の意味・読み・例文・類語

いかく‐としヰクヮク‥【囲郭都市】

  1. 〘 名詞 〙 都市内の治安維持、独自性誇示のため、計画的に市街地城壁土塁、水濠などで囲んだ都市。中国中央アジアに多く分布。

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改訂新版 世界大百科事典 「囲郭都市」の意味・わかりやすい解説

囲郭都市 (いかくとし)
walled town

土堤,城壁,木柵,堀などによって市街地を囲んだ都市。囲郭を築く目的は,軍隊の攻撃に対する防御盗匪に対する防衛,城門における徴税,交通の規制などであるが,防風,砂漠から移動してくる砂の阻止洪水に対する防御や避難場所としても役立った。治安の確立していなかった古代・中世起源のもので,中国,インド,アラブ地域,ヨーロッパなどに多く分布し,日本や新大陸には少ない。中国の城,古代インドにおける王宮や政治中心と規則正しい街区を持つ都市,ローマのカストルムのように,その地方の支配者によって築かれた政治・軍事の中心都市が多いが,中世ヨーロッパでは囲郭はおもに市民によって建設・維持され,領主はその一角に城砦を持った場合が多い。都市の成長に伴い,郭外へ市街が発展したり,パリのように年輪状に城郭が外へ拡張されたり,民族による分離居住が相隣る囲郭として配置されることも多い。日本では,堀や自然河川による市街地の囲郭はみられるが,京都の土囲いなどを除くと,市街地全体を囲む城壁の類はまれであった。

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百科事典マイペディア 「囲郭都市」の意味・わかりやすい解説

囲郭都市【いかくとし】

城壁で囲んだ都市。中国には非常に多く,各県城,省城はじめ農村も集合して囲郭をもち,全体として一大囲郭社会の様相を示してきた。インド,オリエント,古代ギリシア・ローマも囲郭都市をもつ。中世ヨーロッパでは領主,教会,市場を中心とする囲郭都市が生まれ独特な星形稜堡(りょうほ)を完成。近世以後城外にも町が成長,軍事戦術の変化,産業の都市集中に伴って城壁の意味は失われた。
→関連項目都市

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「囲郭都市」の意味・わかりやすい解説

囲郭都市
いかくとし

城郭都市

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世界大百科事典(旧版)内の囲郭都市の言及

【都市】より

…その後は交易路に沿う都市的集落が生まれ,さらに政治権力の集中地や港に新しい都市が次々と発生していった。
[囲郭都市と無囲郭都市]
 上述の太古の都市はおおむね城壁で囲まれていた。もちろんそれは周辺の遊牧民の侵入を防ぐものであるとともに,都市の周辺の農耕民にとって象徴でもあった。…

※「囲郭都市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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