日本大百科全書(ニッポニカ) 「固定基準年方式」の意味・わかりやすい解説
固定基準年方式
こていきじゅんねんほうしき
Fixed-Base Method
物価指数などを算出する際、加重平均に用いる財(商品)やサービスの価格を基準時(比較の基準となる時点)=100として、指数にして行う算出方式。ラスパイレス指数、パーシェ指数のいずれで計算しても、基準時と比較時の間隔が離れるほど価格水準の変動が過大あるいは過小に推計される傾向がある。このため、日本の多くの統計では5年に1回ごとに基準時を変更している。2021年(令和3)時点では、消費者物価指数は2020年を基準時として、企業物価指数などは2015年(平成27)を基準時として算出されている。
一方、基準時が変更されると購入割合(ウェイト)も変わるため、指数の変動も変わることになる。たとえば、2011年の消費者物価指数(「生鮮食品を除く総合」の指数)の上昇率は、2005年基準から2010年基準への改定で0.5ポイント程度、2021年の上昇率は2015年基準から2020年基準への改定で0.7ポイント程度、それぞれ下方修正された。このため、近年は消費者物価指数、企業物価指数は参考系列として連鎖方式の指数も算出しているほか、国内総生産(GDP)の支出側系列等に関する統計である四半期別GDP速報でも、2004年12月8日に公表された2004年7~9月期の2次速報から連鎖方式のデフレーターが導入された。
なお、一般的には新しい基準時で過去にさかのぼって指数が再計算されることはなく、異なる基準の指数を接続した指数(接続指数とよばれる)が用いられる。
[飯塚信夫 2022年2月18日]