略称UNFPA。1967年国連総会決議に基づいて設置された、人口問題を扱う総会の補助機関。当初、国連事務総長のもとに設置された国連人口活動信託基金は、1969年発展的に改組されて国連人口活動基金United Nations Fund for Population Activities(UNFPA)となった。その後、1987年に現在の名称に変更されたが、略称はそのまま残された。また、その管理を行う組織として、国連開発計画(UNDP)の管理理事会が指定された。
UNFPAの理念は「すべての妊娠が望まれ、すべての出産が安全に行われ、そして、すべての若者の可能性が満たされるために活動する」とする。
UNFPAのおもな活動は、人口と家族計画に関する調査と研究の推進、および政策の立案・実施・調整についての国際協力の促進である。とくに開発途上国の人口に関する事業計画に資金と技術を提供している。具体的には、開発途上国の要請に応じて、UNFPAが直接に、あるいは世界保健機関(WHO)、UNDP、国連児童基金(UNICEF(ユニセフ))、国連教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))などの国連関係諸機関や非政府組織(NGO)を通して、
(1)家族計画に関連する専門家の派遣や職員の訓練
(2)広報・教育活動における資料の作成・配布や機材の供与
(3)人口動態に関する調査・研究
(4)人口政策の策定と実施
(5)基礎データの収集
(6)女性の地位向上のための特別プログラム作成
などの活動を行う。
1974年にブクレシュティ(ブカレスト)で開かれた世界人口会議、1984年にメキシコ市で開かれた国際人口会議International Conference on Population、1994年にカイロで開かれた国際人口開発会議International Conference on Population and Development(ICPD)など、人口問題に関する国際的会議では中心的活動を行っている。また、毎年『世界人口白書』The State of World Populationを発行している。
事務局はニューヨークにあり、世界の132か国に事務所をもつ。その活動経費のほとんどを加盟各国からの自発的拠出金でまかなっている。2017年の一般拠出金約3億5000万ドルのうち、日本は約5%を負担している。
[横田洋三]
1994年のカイロ会議で採択された行動計画をもとに、生殖・出産に関する身体的・精神的・社会的健康およびそれを享受することができる権利(性と生殖に関する健康・権利、Sexual and Reproductive Health/Right)を推進している。とくに、2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を実現するため、
(1)妊娠・出産による妊産婦の死亡をZERO(ゼロ)にする
(2)ジェンダーに基づく暴力と児童婚などの、有害な慣習をZEROにする
(3)家族計画サービスへのアクセスが満たされない状況をZEROにする
この三つのミッションを掲げている。
[編集部]
『黒田俊夫著『国連国際人口会議20年の軌跡』(1996・アジア人口・開発協会)』▽『国連人口基金編、アジア人口・開発協会訳『人類のための環境――持続可能な開発のためのかけ橋』(1998・アジア人口・開発協会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
国連の補助機関。略称UNFPA。1967年に設立された人口活動信託基金が69年に国連人口活動基金United Nations Fund for Population Activitiesと改称され,さらに87年,現名に改称。1979年に総会の補助機関となった。本部ニューヨーク。執行理事会は国連開発計画(UNDP)執行理事会が兼任。日本は世界最大の拠出国である。開発途上国における家族計画の普及などに対処し,世界的な人口問題の解決に向けた啓発活動を行っている。毎年《世界人口白書》を発行し,1998年版では,1960年では30億人だった世界人口がすでに59億人に達しており,70億人までの増加は確実と報告。
執筆者:編集部
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(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)
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