国連国際山岳年(読み)こくれんこくさいさんがくねん(英語表記)International Year of Mountains

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連国際山岳年」の意味・わかりやすい解説

国連国際山岳年
こくれんこくさいさんがくねん
International Year of Mountains

世界中で山をめぐる状況や問題を考え、行動するために設けられた国際年で、2002年があてられた。1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた、環境開発に関する国連会議(地球サミット)で採択された行動計画アジェンダ21の第13章「脆弱(ぜいじゃく)な生態系の管理、持続可能な山岳開発」に基づくものである。1998年の第53回国連総会で、地球サミット10周年にあたる2002年を国際山岳年とすることが決議された。

 この年には、国際山岳年の提案国の一つであるキルギス共和国で、ビシュケク世界山サミットBishkek Global Mountain Summitが国連環境計画UNEP)や国連食糧農業機関FAO)などの協賛によって開かれた。また、世界78か国に国内委員会が発足し、山岳地域における紛争水源や生物多様性の管理、森林利用やエコツーリズムなど多くの議題が討議された。ビシュケク世界山サミットでは国連国際山岳年を記念し、毎年12月11日を国際山の日International Mountain Dayとすることで合意し、その後の国連総会で決議された。

 日本では2001年(平成13)に登山家の田部井淳子(たべいじゅんこ)(1939―2016)を委員長とする国際山岳年日本委員会が組織された。2002年には里山の生態系から高山のトイレ問題に至るまで、幅広くとりあげるフォーラムシンポジウムが開かれた。以降、同委員会は「山の日」を国民祝日とする運動に取り組みながら2年後に解散。この活動は、YAMA NET JAPAN(事務局、信州大学)や、日本山岳協会(現、日本山岳・スポーツクライミング協会)をはじめとする国内山岳団体を中心とした山の日制定協議会へと引き継がれ、2014年に、2016年から8月11日を国民の祝日「山の日」とすることが決まった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android