田部井淳子(読み)タベイジュンコ

デジタル大辞泉 「田部井淳子」の意味・読み・例文・類語

たべい‐じゅんこ〔たべゐ‐〕【田部井淳子】

[1939~2016]登山家。福島の生まれ。昭和50年(1975)、女性初のエベレスト登頂成功。平成4年(1992)には、女性初のセブンサミット登頂者となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田部井淳子」の意味・わかりやすい解説

田部井淳子
たべいじゅんこ

[生]1939.9.22. 福島,三春
[没]2016.10.20. 埼玉,川越
登山家。1975年5月16日,エベレスト(8850m)登頂に女性として世界で初めて成功した。1992年までに女性として初めて七大陸最高峰の登頂に成功したことでも知られる。子供の頃,学校の遠足をきっかけに登山に興味をもち始めた。1962年昭和女子大学英米文学科を卒業。いくつかの山岳会に入会したのち,1969年女子登攀クラブを設立。同クラブは初の遠征先にネパールアンナプルナIII峰(7555m)を選び,田部井のチームは南壁に新ルートを開拓して登頂に成功した。1975年のエベレスト登頂の際は女性 15人,シェルパ 6人からなるチームを率い,エドマンド・ヒラリーが 1953年に開いたルートを通った。5月4日には遠征隊がなだれに巻き込まれたが死傷者は出ず,その 12日後に田部井とシェルパのアン・ツェリンが頂上をきわめた。その後も 1980年タンザニアのキリマンジャロ山(5895m),1987年アルゼンチンのアコンカグア山(6959m),1988年アラスカのマッキンレー山(今日のデナリ。6190m),1989年ロシアのエリブルース山(5642m),1991年南極大陸のビンソン山(4892m),そして 1992年6月28日にはオセアニアの最高峰であるニューギニア島ジャヤ山(4884m)の登頂に成功し,七大陸の最高峰すべての頂上をきわめた。田部井はさらに,世界各国の最高峰制覇を目指し,およそ 70ヵ国の最高峰登頂に成功している。環境保護運動にも取り組み,九州大学大学院で登山者が山に残すごみの影響を研究し,2000年に修士課程修了。山岳環境保護団体「日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト」の代表を務めた。1975年文部省スポーツ功労賞,日本スポーツ大賞,朝日体育賞受賞。1992年 2度目のスポーツ功労賞,2009年日本放送協会放送文化賞を受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田部井淳子」の解説

田部井淳子 たべい-じゅんこ

1939- 昭和後期-平成時代の登山家。
昭和14年9月22日生まれ。45年アンナプルナIII峰に登頂。50年女性初のエベレスト登頂。のちモンブラン,キリマンジャロ,アコンカグア,マッキンリー,南極ビンソンマシフ,ニューギニアのカルストン-ピラミッドと7大陸の最高峰を踏破。山岳環境保護団体HAT-J代表をつとめる。福島県出身。昭和女子大卒。

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