日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際コーヒー協定」の意味・わかりやすい解説
国際コーヒー協定
こくさいこーひーきょうてい
International Coffee Agreement
国際市場におけるコーヒーの需給調整と価格の安定を図るための国際商品協定。略称ICA。1957年の中南米コーヒー協定を母体として、1959年に輸出国のみによる国際コーヒー協定が結ばれたが、1962年にニューヨークにおいて国連コーヒー会議が開催され、輸出国、輸入国双方の参加による「62年協定」が成立した。この協定は、加盟輸出国に対する輸出割当てを中心とするものであるが、加盟輸入国も非加盟国からの輸入を一定量以下に制限し、生産と消費との長期的均衡を維持して取引の安定化を図ろうとするものである。その後、一時的に輸出割当てなどに関する経済条項が削除されることがあったが、「76年協定」で経済条項が復活している。1994年に採択された「94年協定」は、輸出割当て制度を採用せず、情報の収集、研究開発、調査の促進を中心としている。
なお、同協定に基づいて国際コーヒー機関International Coffee Organization(ICO)が設立されており、国際コーヒー理事会、執行委員会、事務局などで構成され、本部はロンドンに置かれている。2018年6月時点の加盟国は、輸出国44か国、輸入国5か国およびヨーロッパ連合(EU)。日本は1962年(昭和37)に輸入国として加盟、2009年(平成21)に財政難を理由に脱退したが、2015年に再加盟している。
[入江成雄・横川 新]