土製の漁網錘。次の6種がある。(1)厚手の土器片を整形し、その両端に切目(きれめ)をつけた土器片錘。茨城・千葉県など東関東地方を中心に、縄文時代中・後期に発達する。(2)溝が一周ないし十文字などにつけられた有溝(ゆうこう)土錘。これには十数種のバラエティーがある。(1)の系譜を引き、縄文時代後・晩期に発達する。(3)管(かん)状土錘。弥生(やよい)時代に大陸より伝わり、(1)(2)にかわり現代に至るまで主流となるタイプ。(4)球状土錘。(3)の変異型である。(5)棒状の両端に二孔をもつ瀬戸内型土錘。弥生時代後期から平安時代にかけて、瀬戸内海沿岸に分布する。(6)両側面に溝をもち、その断面形態より名づけられた工字型土錘。古墳時代以降現代に至るまで瀬戸内海沿岸におもに分布する。
[渡辺 誠]
土製の漁網錘の総称。縄文時代の土錘は,土器の破片を加工して切込みを設けた土器片錘(へんすい)と,糸をかけるために表面に一字形または十字形に溝を設けた有溝(ゆうこう)土錘に大別される。前者は中・後期の関東地方で発達したもので,土錘の原初形態を示す。後者はおもに後・晩期の東北・関東地方で発達した。弥生時代には管状土錘が出現し,古代から歴史時代を通じて主流となる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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