地方奉行(読み)ジカタブギョウ

デジタル大辞泉 「地方奉行」の意味・読み・例文・類語

じかた‐ぶぎょう〔ヂかたブギヤウ〕【地方奉行】

江戸幕府初期の職名幕府直轄地民政を取り扱った。
地方頭人」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「地方奉行」の意味・読み・例文・類語

じかた‐ぶぎょうヂかたブギャウ【地方奉行】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸幕府初期の職名の一つ慶長から寛永一五九六‐一六四四)の頃、幕府の直轄地を支配した職。
    1. [初出の実例]「大河内孫太郎久綱地方奉行関東四十八万石の地を支配せしめらる」(出典:徳川実紀‐慶長一五年(1610)是年)
  3. じかたとうにん(地方頭人)

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改訂新版 世界大百科事典 「地方奉行」の意味・わかりやすい解説

地方奉行 (じかたぶぎょう)

室町幕府の職名。京都市中の治安・警察面を担当した侍所に対し,洛中の土地支配にかかわる事柄をその職務とした。鎌倉時代にすでに,鎌倉市中での土地の打渡(うちわたし),保々(ほほ)奉行人の統轄,それへのさまざまな指令の奉行といった,いわば鎌倉市政のかなめともいうべき〈地奉行〉と呼ばれる職名のあったことが知られており,また,この地奉行は原則として2名からなり,1名は政所職員より,他の1名は得宗被官のうちより選ばれた。南北朝期には,おもに武家の輩に対する洛中屋地の闕所地(けつしよち)給付をその職務とする〈地方管領〉の活動が見える。南北朝末期には,検非違使庁衰退,それに伴う室町幕府の京都市政権の吸収という事態の進行により,地方奉行もその機能を拡大し,14世紀末には洛中の屋地裁判権をほぼ手中に握ったと思われる。地方奉行の職務としては屋地の裁判,紛失証文の安堵,大名近習宿所地の決定,幕府認可外の寺領内の建造物の取締りなど,室町幕府が洛中の土地支配を進めるにあたって広範かつ重要な役割を果たした。地方奉行の長官たる地方頭人(じかたとうにん)には応永ころより摂津氏が代々その職を継承した。応仁の乱以降はその職も有名無実化していったものと思われる。
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