地獄変相(読み)ジゴクヘンソウ

デジタル大辞泉 「地獄変相」の意味・読み・例文・類語

じごく‐へんそう〔ヂゴクヘンサウ〕【地獄変相】

亡者もうじゃ地獄で苦しみにあうようすを絵に表したもの。地獄絵地獄変

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精選版 日本国語大辞典 「地獄変相」の意味・読み・例文・類語

じごく‐へんそうヂゴクヘンサウ【地獄変相】

  1. 〘 名詞 〙 勧善懲悪のために亡者が地獄で受ける、種々の恐ろしい責め苦の様子。また、それを描いた図。地獄変。地獄絵。
    1. [初出の実例]「牛頭馬頭を地獄変相(ヂゴクヘンサウ)の図で見る」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
    2. [その他の文献]〔海録砕事‐百工医技部・図画門・地獄変相〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地獄変相」の意味・わかりやすい解説

地獄変相
じごくへんそう

罪を犯した人間が死後、地獄に堕(お)ちて苦しむ姿を図に描いて、民衆に勧善懲悪と正しい信仰を教え諭したもの。地獄変、地獄図、地獄絵ともいう。インドでは五趣輪廻(ごしゅりんね)図などが壁画に残っているが、中央アジアから隆盛となり、中国に入って閻魔(えんま)王などの十王審判によって拡大した。日本では源信(げんしん)が『往生要集(おうじょうようしゅう)』所説の八大地獄を克明に描写して六道輪廻の中心に位置づけた。さらに、三途(さんず)の川や地蔵信仰をも組み入れて、絵解きに用いられるに至った。遺品には、東京国立博物館蔵(旧安住院蔵)の『地獄草紙』1巻(国宝)、大津市聖衆来迎寺(しょうじゅらいこうじ)蔵の『十界(じっかい)図』(仏界から地獄まで十の世界を描く)30幅のうちの「六道絵」15幅(国宝)、京都市金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)蔵の『地獄極楽図屏風(びょうぶ)』、さらに1784年(天明4)に描かれた千葉県安房(あわ)郡延命寺(えんめいじ)の『地獄極楽図』16幅などがある。

[石上善應]

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世界大百科事典(旧版)内の地獄変相の言及

【地獄変】より

変相図の一つで,地獄を描いた図をいう。地獄変相ともいう。浄土変が《阿弥陀経》《観無量寿経》,降魔変(ごうまへん)が《仏本行経》などとおのおのが拠った経典があるのに対し,地獄変は十八地獄などの観念によって描かれたとされる。…

※「地獄変相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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