罪を犯した人間が死後、地獄に堕(お)ちて苦しむ姿を図に描いて、民衆に勧善懲悪と正しい信仰を教え諭したもの。地獄変、地獄図、地獄絵ともいう。インドでは五趣輪廻(ごしゅりんね)図などが壁画に残っているが、中央アジアから隆盛となり、中国に入って閻魔(えんま)王などの十王審判によって拡大した。日本では源信(げんしん)が『往生要集(おうじょうようしゅう)』所説の八大地獄を克明に描写して六道輪廻の中心に位置づけた。さらに、三途(さんず)の川や地蔵信仰をも組み入れて、絵解きに用いられるに至った。遺品には、東京国立博物館蔵(旧安住院蔵)の『地獄草紙』1巻(国宝)、大津市聖衆来迎寺(しょうじゅらいこうじ)蔵の『十界(じっかい)図』(仏界から地獄まで十の世界を描く)30幅のうちの「六道絵」15幅(国宝)、京都市金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)蔵の『地獄極楽図屏風(びょうぶ)』、さらに1784年(天明4)に描かれた千葉県安房(あわ)郡延命寺(えんめいじ)の『地獄極楽図』16幅などがある。
[石上善應]
…変相図の一つで,地獄を描いた図をいう。地獄変相ともいう。浄土変が《阿弥陀経》《観無量寿経》,降魔変(ごうまへん)が《仏本行経》などとおのおのが拠った経典があるのに対し,地獄変は十八地獄などの観念によって描かれたとされる。…
※「地獄変相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...