ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地蔵信仰」の意味・わかりやすい解説
地蔵信仰
じぞうしんこう
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地蔵菩薩(ぼさつ)への帰依を中心とする信仰。地蔵は釈迦入滅ののち,弥勒(みろく)の出現までの間,衆生(しゅじょう)を救うとされ,日本では平安時代に末法思想・浄土信仰とともに広がりをみせた。地獄からの救済を約束することから庶民層にも熱烈に支持され,とくに子供の守護としてしばしば童身で現れると考えられた。また冥界とこの世とを自由に交通できるとされることから塞の神(さえのかみ)との習合も顕著にみられた。現在もさまざまな利益(りやく)や由来,供物などにもとづく愛称を冠して各地に祭られる。青森県の恐山(おそれざん)をはじめとする霊場や京都の地蔵盆など,地蔵信仰を基盤にうまれて維持されている行事や習俗はきわめて多い。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…小児が死後に赴き,鬼から苦しみを受けると信じられている。《法華経》方便品にある〈童子戯れに砂を聚めて塔を造り,仏道を成ず〉から構想された鎌倉時代の偽経《地蔵十王経》や解脱上人(貞慶)作という《地蔵和讃》,また江戸時代の《賽の河原地蔵和讃》などにより,地蔵信仰のたかまりとともに,中世以降とくに江戸時代に普遍化した俗信である。《賽の河原地蔵和讃》は〈死出の山路の裾野なる賽の河原の物がたり〉で,十にも足らない幼き亡者が賽の河原で小石を積んで塔を造ろうとするが,地獄の鬼が現れて,いくら積んでも鉄棒で崩してしまうため,小児はなおもこの世の親を慕って恋い焦がれると,地蔵菩薩が現れて,今日より後はわれを冥途の親と思え,と抱きあげて救うようすがうたわれている。…
…中国の偽経《預修十王生七経》では,罪人は死後に十人の王の役所を通過するとされ,日本の偽経《地蔵十王経》ではそのうちの閻羅(閻魔)王が地蔵の化身とされる。【定方 晟】
[日本における地蔵信仰]
正倉院写経文書によれば,日本にはすでに奈良時代に《十輪経》など地蔵経典は伝来していた。しかし当時の地蔵造像の例は,阿弥陀,観音,弥勒などに比較して非常に少なく,その傾向は平安時代に入っても9世紀後半まで続く。…
※「地蔵信仰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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