日本大百科全書(ニッポニカ) 「地質学原理」の意味・わかりやすい解説
地質学原理
ちしつがくげんり
地質学書。19世紀イギリスの地質学者C・ライエルの著作。1830~1833年の出版。全三巻からなり、原著名はPrinciples of Geology。その内容は、最初の版は四部構成で、第一部は地質学の定義、地質学と歴史学との関係、地質学史からなり、第二部は無生物界の変化、第三部は生物界の変化、第四部が地質時代の諸変化、であった。その後1838年に第四部が独立し、『地質学提要』Elements of Geologyと題されて別に出版された。『地質学原理』に一貫しているのは、地質学における斉一説である。自然は急激にではなく、漸次的に変化していくという主張であり、キュビエらの激変説を否定した。またこの著書のなかで、第三紀を始新世・中新世・鮮新世に分けることを提唱した。進化論のC・ダーウィンがビーグル号での航海に参加の際、この著書を持参し大きな影響を受けたことは知られるが、ライエルは第10版でダーウィンの説をもとに改訂を加えた。
[内田 謙]