ハットン(読み)はっとん(英語表記)James Hutton

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハットン」の意味・わかりやすい解説

ハットン
はっとん
James Hutton
(1726―1797)

イギリスの地質学者。スコットランドエジンバラ生まれ。エジンバラ大学ライデン大学でそれぞれ法律、医学を学んだのちスコットランドに戻る。野にあって独自に野外での地質観察を行い、1795年に『地球の理論』を著す。世人の注目するところとならず、その死後に友人プレイフェアが彼の説の普及に努めた。学説根本は「現在自然界におこっている現象をよく理解することによって、過去の自然界の現象を解明しうる」という点にある。これは斉一説とよばれる。過去には現在おこっている現象とはまったく異なる大事件がおこったことがある、とする当時流行のカタストロフィズムの思想反対の説であった。ハットンの考えはのちにライエルに取り上げられ、地質学研究の基本原理として広く受け入れられている。

[木村敏雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハットン」の意味・わかりやすい解説

ハットン
Hutton, James

[生]1726.6.3. エディンバラ
[没]1797.3.26. エディンバラ
イギリスの化学者,地質学者。幼くして父を失い,エディンバラ大学卒業後,法律事務所に勤めたが,まもなく復学し,のち,パリ,ライデン各大学で医学と化学を学び,1749年医学の学位を取得。塩化アンモニウムの製造工場を建てて成功する。次第に岩石鉱物への関心を深め,J.ブラックらとエディンバラ・ロイヤル・ソサエティ会員として活躍。ヨーロッパ各地の地質調査を行い,85年には,当時一般に行き渡っていた天変地異説に対して斉一説を唱えた。彼の理論をめぐって,A.ウェルナーの水成説に立つ R.カーワンとの間でなされた論争では,火成岩の存在を主張して対抗した。ハットンの基本的考えは C.ライエルに引継がれ,近代的地質学の基礎となった。主著『地球の理論』 Theory of Earth (1795) 。

ハットン
Hatton, Sir Christopher

[生]1540. ノーサンプトンシャー,ホールデンビー
[没]1591.11.20. ロンドン
イギリスの大法官エリザベス1世の寵臣。オックスフォード大学と法学院に学び,1564年宮廷に入った。美貌のゆえに女王の愛顧により昇進し,親衛隊長,枢密顧問官をつとめ,また 71年以後下院における政府のスポークスマンとして活躍。 87~91年大法官,88年オックスフォード大学総長。

ハットン
Hatton

スリランカ南部の町。カンディー南方約 45km,ハットン台地に位置。行政上は南 2kmのディコヤと一体となっている。同国屈指の茶の取引中心地で,近郊のタラワケレに茶研究所がある。人口約1万。

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