〈さいいつせつ〉ともいう。イギリスのJ.ハットンは《地球の理論》(1788)の中で,自然の法則は地球が太陽系の一員であるかぎり,過去・現在を通じて不変であるとする考えから,過去の地質現象は現在の自然現象の注意深い観察によって知ることができると説いた。この考えは後に斉一説と呼ばれた。斉一説によって,従来の思弁的地質学は科学的地質学に置き換えられた。1830年代に出版されたC.ライエルの《地質学原理》は斉一説の普及に貢献した。ライエルのいう地質学の原理とは斉一説のことである。しかしライエルは地質現象における過程の一様性を重視したため,斉一説はしばしば漸進説,斉一過程説,現在主義などと同義語とされた。なお斉一説からは,地質現象はきわめて長大な時間の経過の中で緩慢に行われるという考えが導かれる。この地質現象における時間尺度の認識は,J.B.deラマルクやC.ダーウィンの進化論の出発点ともなっている。
執筆者:今井 功
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過去の地質時代におこった諸現象も、現在働いていると同じ自然の法則に従って生起したとする説、ないし自然観。簡単に「現在は過去の鍵(かぎ)である」と表現される。18世紀中ごろイギリスのハットンによって提唱され、19世紀同じくイギリスのライエルによって広められた。進化論のダーウィニズムにも影響を与えたといわれる。ハットンは野外の観察を重視し、事実に基づいて次のように主張した。すなわち、たとえ急激な変動があったようにみえても、長時間かければ現在も作用しているような緩慢な作用でも形成されうるとした。これはフランスのキュビエのカタストロフィズムcatastrophism(天変地異説)に対するもので、近代地質学の基礎を築く考え方である。現行説(アクチュアリズム)ともいう。
[岩松 暉]
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…この論争自体はキュビエの勝利に終わったが,天変地異説の方はC.ライエル(1797‐1875)の《地質学原理》(1830)で否定されることになった。ライエルの思想は〈斉一説uniformitarianism〉といわれ,〈現在は過去の鍵である〉ことを強調している。19世紀の第2四半期は産業革命のさなかであって,キュビエ以来の生物学的研究とスミスにより刺激された層位学的研究の結びつきが強化され,化石の層位学上の実用的価値が石炭のような地下資源開発の面で認められていった。…
…この論争自体はキュビエの勝利に終わったが,天変地異説の方はC.ライエル(1797‐1875)の《地質学原理》(1830)で否定されることになった。ライエルの思想は〈斉一説uniformitarianism〉といわれ,〈現在は過去の鍵である〉ことを強調している。19世紀の第2四半期は産業革命のさなかであって,キュビエ以来の生物学的研究とスミスにより刺激された層位学的研究の結びつきが強化され,化石の層位学上の実用的価値が石炭のような地下資源開発の面で認められていった。…
…山地で起伏量1000m以上を大起伏山地,300m以上を中起伏山地,100~300mくらいを小起伏山地などと分けるが,この区分基準は対象地域と目的によって変化させて差支えない。
[地形の系統的認識]
海,山,川,崖など地形の経験的認識は人類の生活の歴史とともに古いが,系統的認識は18世紀末のイギリスの地質学者による〈斉一説〉に端を発している。すなわち,J.ハットンが唱道し,C.ライエルによって広められた同説によると,〈現在地表に見られる地学的諸現象と同じような過程で,地球創生以来地形がつくられ続けてきた〉のである。…
※「斉一説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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