最新 地学事典 「地震のメカニズム解」の解説
じしんのメカニズムかい
地震のメカニズム解
mechanism solution of earthquake source
地震波を励起する力源の記述。震源を地下の断層運動と考えるときは,断層面の向きとすべりの方向を記述することに対応する。地震のメカニズム解は,しばしば図にあるような形で表示される。放射される波の分布は震源に関して対称になるので,震源球(震源を囲む球面)の半分を示すだけで震源メカニズムを表示できる。図では,震源球の下半球を平面に投影している。震源球の中心から下方の斜線をつけた方向へ出ていく波は押しの成分をもっており,斜線なしの方向へ出ていく波は引きの成分をもっている。地震が単純で,一枚の断層平面でのすべりだけの場合は,震源球上での押し引きの分布は,球の中心を通る2枚の直交面で四つの象限に区切られる。この2枚の平面のうちの一つが実際の断層面になり,他の面はすべり方向に垂直な面となる。すべりの向きは斜線なし(引き)の象限から斜線有り(押し)の象限へと向かう。1枚の断層面上でのすべりと同じ地震波を放出する力の組合せをダブルカップルと呼ぶ。押し引きの分布が曲面で分けられている場合は,地震は,1枚の断層だけでは説明できない。このような場合,震源は非ダブルカップル成分を含むという。非ダブルカップル成分まで含む地震のメカニズムは,モーメント・テンソルによって一般的に記述される。個々の地震のメカニズム解からわかるのは,地震の発生により解放される歪みであり,震源域に加わっている応力場でないことは注意を要する。
執筆者:川勝 均

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

