日本大百科全書(ニッポニカ) 「基本国策要綱」の意味・わかりやすい解説
基本国策要綱
きほんこくさくようこう
1940年(昭和15)7月26日、成立直後の第二次近衛文麿(このえふみまろ)内閣の閣議で決定した基本国策の方針。大東亜新秩序の建設と、国防国家体制の確立を基本方針とし、新国民組織の確立や議会制度、行政制度の改革をも掲げていた。翌7月27日の大本営政府連絡会議決定による「世界情勢の推移に伴ふ時局処理要綱」が武力行使を伴う南方進出の方針を定めたのに対して、閣議決定の性格上この国策要綱は、抽象的な表現にとどまっている。しかしヨーロッパにおけるドイツの軍事的勝利に便乗し、外に対しては南方進出と三国同盟締結、内に対しては新体制確立という、国策の根本的転換の方向を明らかにしたものであった。
[藤原 彰]