塩化鉛型構造(読み)えんかなまりにがたこうぞう(英語表記)lead(Ⅱ) chloride structure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化鉛型構造」の意味・わかりやすい解説

塩化鉛(Ⅱ)型構造
えんかなまりにがたこうぞう
lead(Ⅱ) chloride structure

一般式AX2(Aは陽性元素、Xは陰性元素)で示される化合物にみられる結晶構造の一型式。塩化鉛(Ⅱ)の構造では、鉛(Ⅱ)イオンが9個の塩化物イオンに囲まれ、6個は三角柱頂点、3個は柱面の中心より外側に位置している。しかし、Pb‐Cl間距離は2.67~3.29Åの間の不等距離にあり、鉛(Ⅱ)イオンは三角柱の中心よりずれたところに位置している。斜方直方)晶系、空間群Pnmaa=7.605Å,b=4.520Å,c=9.027Åの単位格子中に PbCl2 4単位が入っている。すべての原子b=1/4および3/4のac面上に存在しており、Pb‐Cl間の最短距離2.67Åはイオン半径の和より小さいので、共有結合性が加わっていると考えられる。BaX2 (X=Cl, Br, I), SnCl2, SmCl2, PbBr2, CaH2, SrH2, BaH2などが同型あるいは類似した構造をとっている。

[岩本振武 2015年8月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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