変形核(読み)へんけいかく(その他表記)deformed nucleus

改訂新版 世界大百科事典 「変形核」の意味・わかりやすい解説

変形核 (へんけいかく)
deformed nucleus

質量数が150から190の間および224以上の領域にある原子核は,比較的低い励起準位の構造が分子における回転準位と似ていること,準位間の電気四重極遷移が非常に強いこと,大きな電気四重極モーメントをもつことなどから,回転楕円体物体が回転するという描像が成り立つと考えられている。このような原子核を変形核という。陽子数,中性子数ともに魔法数から離れている領域で,変形はそのための量子力学的効果によって生ずると考えられている。古典力学での剛体回転とは異なり,その慣性モーメントも剛体値の半分以下である。質量数が上の領域より小さい原子核にも似た性質を示すものがあり,また,基底状態球形でも,励起状態に変形した状態が現れていると考えられる原子核もある。
原子核
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「変形核」の意味・わかりやすい解説

変形核
へんけいかく
deformed nuclei

形が球対称からずれた原子核。質量数が 155から 185の間と 225以上の原子核の多くは回転楕円体で,大きな核四重極能率をもつものがあり,また回転楕円体に固有の回転準位が励起状態として出現する。

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