夕暮まで(読み)ユウグレマデ

関連語 講談社文庫

日本大百科全書(ニッポニカ) 「夕暮まで」の意味・わかりやすい解説

夕暮まで
ゆうぐれまで

吉行淳之介(じゅんのすけ)の中編小説。1965年(昭和40)から78年にかけて、断続的に7回、各誌分載。78年9月、新潮社刊。中年の男佐々と22歳の「処女」杉子との奇妙な肉体関係を描く。佐々は杉子のほかにも女との交渉があり、いわば女の性をうかがう者の立場にあるともいえようが、それでも杉子の「バージン」にこだわり、「中途半端な状態」の自分を意識せざるをえない。『夕暮まで』の標題はそこにもかかわるであろう。多様な性の形が幻想画のように繰り広げられ、『驟雨(しゅうう)』以来の作者の異性追究の一つの到達がここに示された。野間文芸賞受賞。

保昌正夫

『『夕暮まで』(講談社文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「夕暮まで」の解説

夕暮まで

①吉行淳之介の短編小説集。1978年刊行。同年、第31回野間文芸賞受賞。
②1980年公開の日本映画。①を原作とする。監督黒木和雄脚本:浜地一郎、田辺泰志。出演桃井かおり伊丹十三加賀まりこ、山口美也子、馬渕晴子、風間杜夫ほか。第23回ブルーリボン賞助演女優賞(加賀まりこ)受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android