大依羅神社(読み)おおよさみじんじや

日本歴史地名大系 「大依羅神社」の解説

大依羅神社
おおよさみじんじや

[現在地名]住吉区庭井二丁目

祭神建豊波豆羅別王および底筒男命・中筒男命・表筒男命(住吉三神)。旧府社。「延喜式」神名帳の住吉郡に「大依羅神社四座並名神大、月次、相嘗、新嘗」とある。「和名抄」に住吉郡大羅おおよさみ郷があるが、住吉郡に接する河内国丹比たじひ郡にも依羅郷(現松原市北西部)があり、依網よさみとよばれる地域はかなり広かったと思われる。「日本書紀」崇神天皇六二年条と推古天皇一五年条に依網池を造ったことがみえ、後者では依網池は河内国に造ったとあるが、現在当社の近くにある池がその痕跡であろう。古代では広大であったが、江戸時代の大和川付替工事のために狭小になった。「日本書紀」仁徳天皇四三年条に、依網屯倉阿弭古が異鳥を捕らえた話があり、皇極天皇元年条には河内国の依網屯倉で射猟を行ったことがみえる。依網池の造営と関連して依網屯倉が造られたのであろう。「和名抄」に丹比郡三宅みやけ(現松原市北部)があり、依網屯倉は丹比郡依羅郷・三宅郷と住吉郡大羅郷とにわたって存在したと思われる。大依羅神社は、もとこの地域の神を祀る社として成立したのであろうが、大を称するのは依網池や依網屯倉の守護の神として朝廷と関係をもつようになったからではないかと想像される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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