精選版 日本国語大辞典 「相嘗」の意味・読み・例文・類語
あい‐んべあひ‥【相嘗】
- 〘 名詞 〙 ( 「あいにえ(相嘗)」の変化した語。「あひむべ」と表記 ) 古代、一一月の卯(う)の日に、その年の新穀を諸神に供え、諸神と天皇とが共に饗宴を行なう形の祭。山城、大和、河内、摂津、紀伊の諸社に、幣帛(へいはく)を奉る祭儀。あいなめ。あいにえ。
- [初出の実例]「十一月(しもつき)にもなりぬれば、斎院のあひむへの程」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)三)
相嘗の語誌
「日本書紀」に「相新嘗」を「あひにへ」と訓むが、多く「相嘗」と表記し、「あひむへ」「あひんへ」「あひなめ」などと付訓されている。読みは「あいんべ」(「観智院本名義抄」「名目鈔」は「あひむべ」)。「伊呂波字類抄」「狭衣物語古活字本」には「あゑへ」「あやへ」とあるから、「あえんべ」「あやんべ」ともいったようである。現行の「あいなめ」の訓は漢字表記に引かれたもので、「新嘗(にひなめ)」「大嘗(おほなめ)」などの類推によるか。