大口市(読み)オオクチシ

デジタル大辞泉 「大口市」の意味・読み・例文・類語

おおくち‐し〔おほくち‐〕【大口市】

大口

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日本歴史地名大系 「大口市」の解説

大口市
おおくちし

面積:二九一・八八平方キロ(境界未定)

県北端に位置し、北は熊本県水俣市・球磨くま郡球磨村・人吉市、東は宮崎県えびの市と伊佐郡菱刈ひしかり町、西は出水いずみ市・薩摩郡鶴田つるだ町、南は市山いちやま川を境に菱刈町および薩摩郡薩摩町・鶴田町に接する。鹿児島県で唯一海に面していない市で、北部は球磨村の国見くにみ(九六九・三メートル)と水俣市のおん(七三四・九メートル)、北東部にはみや(八七七・一メートル)久七きゆうしち(六九〇メートル)間根まねひら(八九三・一メートル)、西は朝日あさひ(六一七メートル)と三方を九州山系に囲まれる。南部を東から西へ川内せんだい川が流れる。中央部を川内川支流の羽月はつき川が南東に流れ、山野やまの川・十曾じゆうそ川・牛尾うしお川・小川内こがわち川・井立田いたちだ川・平出水ひらいずみ川といった支流が蛇行しながら流れて合流する。市域南東部から中央部にかけては大口盆地の中心部で、盆地縁部には高熊たかくま(四一二メートル)鳥神とがみ(四〇三・九メートル)鳶巣とびのす(三三五メートル)がある。南東から北西へ菱刈町から当市を経て水俣市に抜ける国道二六八号、南西から北へ薩摩町から当市を経て北東人吉市に抜ける国道二六七号、東西に出水市から当市を経てえびの市に抜ける国道四四七号が通り、いずれも市南端部で交差する。

〔原始・古代〕

市域では現在約一二〇ヵ所の遺跡が知られている。旧石器時代では、黒曜石原産地および石器製作地としての日東につとう遺跡が発掘調査されているほか、五女木ごめき遺跡などがある。縄文時代の遺跡では、当市域は「伊佐縄文」といわれるほど遺跡の発見・研究が早くから行われた地域で、標式遺跡の鳥巣の手向山とりすのたむけやま遺跡、小木原の日勝山こぎはらのひかちやま遺跡、宮人の並木みやひとのなみき遺跡などの著名な遺跡が多数所在している。弥生時代の遺跡では石包丁・磨製石鏃・抉入片刃石斧などが採集されているが、遺跡は少なく発掘調査された例はない。古墳時代では早くから宮人の大住うずん地下式板石積石室墓群や焼山やきやま遺跡があり、最近では青木あおき平田ひらた遺跡などで南九州の墓制の一つである地下式板石積石室墓が多数発掘されている。またもう一つの墓制である地下式横穴墓群が諏訪野すわの遺跡や青木のうえ遺跡などで多数発掘され、両方の墓制が混在する地域として注目されている。

古代律令制下で、市域の大部分は「和名抄」に記載される大隅国菱刈郡四郷のうちの大水おおむつ郷に属していたと考えられ、一部は菱刈郡の他の三郷の区域にも及んでいた可能性がある。その一方、中世以降市域の主要部は薩摩国に属していたことが確かめられるので、古代にも南西方薩摩国寄りの地域は薩摩国に属していた可能性もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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