日本歴史地名大系 「大師東丹保遺跡」の解説
大師東丹保遺跡
だいしひがしたんぼいせき
甲府盆地南西端の標高二四五メートルの低位に位置する。この一帯は扇端部にあたって湧水の豊富な地域で、付近には弥生時代から古墳時代にかけての遺跡が多く知られている。この地区に甲西バイパス・中部横断自動車道が建設されることになったため、平成五年度と同六年度とに県教育委員会により発掘調査が行われた。調査範囲は幅三〇メートル・長さ四〇〇メートルに及ぶため、南から北にかけてI区―IV区に区分し調査が行われた。その結果、上層の鎌倉時代後半(一三世紀後半―一四世紀前半)、中層の古墳時代、下層の弥生時代といった生活面が確認された。遺跡が低地にあることから出水が激しく、そのため木製品をはじめとした有機物の保存状況がきわめて良好であった。
鎌倉時代の面については、II区からは大小の溝により仕切られた区画や建物跡が検出された。各区画からは多くの斎串を中心に呪符や人形が出土しており、馬の歯・刀子・古銭・桃核などと合せて水辺の祭祀が行われた場所と考えられている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報