大村横穴群(読み)おおむらよこあなぐん

日本歴史地名大系 「大村横穴群」の解説

大村横穴群
おおむらよこあなぐん

[現在地名]人吉市城本町 城本・豊岡

人吉駅の北方約五〇メートル、標高一四〇メートルの村山むらやま台地南側の阿蘇泥溶岩の崖中腹に七〇〇メートルにわたって、二七基の横穴がある。そのうち六基に彫刻による装飾が施される。東から数えて四号・五号・七号・一一号・一四号・一五号の六基に装飾があり、このうち一五号横穴は玄室奥壁に五個の線刻二重円文があるが、ほかの装飾はすべて羨門外壁に施されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「大村横穴群」の解説

おおむらよこあなぐん【大村横穴群】


熊本県人吉市城本町にある横穴。県の南を流れる球磨(くま)川右岸にある村山台地の南側、阿蘇熔結凝灰岩の崖面、東西約550mにわたって分布する横穴群。6世紀から7世紀の古墳時代に造られた墓で、早くから学界でも注目され、1921年(大正10)に国の史跡に指定された。横穴は二十数基群集して見られるが、そのうち8基に装飾があり、横穴の外面には動物、武器、武具、幾何学文様(円文、三角文など)の文様が描かれている。羨門(せんもん)は方形またはドーム形で、周囲に飾り縁をもつものが多く、墓室は隅丸方形のなかに2区ないし3区の屍床を設けている。出土遺物は蕨手(わらびで)直刀などが見つかっている。このような装飾古墳は全国に約600基あり、そのうち熊本県内に約3割の193基あるといわれている。JR肥薩線ほか人吉駅から徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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