プロ野球選手(右投左打)。岩手県水沢市(現、奥州(おうしゅう)市)生まれ。
2012年(平成24)花巻東(はなまきひがし)高校3年のとき、アメリカ大リーグ(メジャー・リーグ)への挑戦を表明したにもかかわらず、北海道日本ハム・ファイターズにドラフト1位指名された。その際に球団側から大リーグ挑戦のための育成プラン(「夢への道しるべ」と題された資料)を提示されて入団を決めた。
2013年、投打の二刀流に挑戦。オールスターゲームには、投手と左翼手として出場した。2014年に11勝、10本塁打の結果を残し、日本プロ野球史上初の「二桁(けた)勝利、二桁本塁打」を達成した。2016年には投手(10勝4敗、防御率1.86)と指名打者(打率3割2分2厘、22本塁打、67打点)でベストナインに選出され、パシフィック・リーグの最優秀選手(MVP)となる。
2017年オフシーズンにポスティングシステムを利用して、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスと契約した。
2018年、大リーグではベーブ・ルース以来およそ100年ぶりに本格的な投打二刀流に挑み、3月29日、開幕戦の初打席では、初球で初安打を記録。4月1日には先発投手として初登板を果たし、6回3失点で初勝利をマークした。この年投手として4勝2敗、打者として22本塁打、10盗塁などの活躍をみせて、アメリカン・リーグ新人王となった。その一方で同年10月に右肘靭帯(ひじじんたい)再建術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けた。
2019年は打者に専念することとし5月に復帰、6月13日に日本人選手として、初のサイクル安打を達成。9月に左膝(ひざ)の手術を受けたが、106試合に出場し打率2割8分6厘、18本塁打、62打点の成績を残した。
2020年に大リーグでは投手と打者の二刀流がルールに定義され、大谷は初の二刀流選手として登録された。この年の大リーグは新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行拡大の影響で7月に開幕、60試合の短縮シーズンとなった。このシーズンは、右屈曲回内筋群の損傷のため2試合だけの登板となり、打者としては打率1割9分、7本塁打、24打点という成績に終わった。
2021年には投打の二刀流で完全復活し、7月のオールスターゲーム前日に行われた本塁打競争に日本人として初参加。また、大リーグのオールスター戦史上初めて投打の二刀流での出場を果たした。「1番指名打者」で先発出場、また、先発投手としても登板した。この年のリーグ戦ではシーズン前半戦に独走しながら後半戦に失速して本塁打王こそ逃したが、46本塁打をマーク。投手として9勝をあげ、自身初めて投打の二刀流でシーズンを通して活躍し、2001年のイチローに次いで日本人2人目のアメリカン・リーグMVPに選ばれた。
2022年はルース以来104年ぶりの「二桁勝利、二桁本塁打」を達成。また、1900年以降の近代野球史上初めて規定投球回数と規定打席数の両方に到達。シーズン15勝、219奪三振、34本塁打などの活躍でアメリカン・リーグMVP投票2位となった。
2023年3月はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表として投打に活躍し、3大会ぶりの世界一奪還に貢献した。この年は、大リーグで2年連続での「二桁勝利、二桁本塁打」を達成。また、アメリカン・リーグ最多の44本塁打を放ち、日本人初のホームラン王を獲得するとともに、二度目のMVPとなった。同年のオフシーズンにFA(フリーエージェント)となり、12月9日にロサンゼルス・ドジャースとプロスポーツ史上最高の10年総額7億ドル(約1015億円)で契約。長い歴史と伝統をもつ球団への移籍が決まった。
[福島良一 2024年5月17日]
(城島充 フリーライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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