天一天上(読み)テンイチテンジョウ

デジタル大辞泉 「天一天上」の意味・読み・例文・類語

てんいち‐てんじょう〔‐テンジヤウ〕【天一天上】

陰陽道おんようどうで、天一神なかがみが天に上っているという日。癸巳みずのとみの日から戊申つちのえさるの日までの16日間。

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精選版 日本国語大辞典 「天一天上」の意味・読み・例文・類語

てんいち‐てんじょう‥テンジャウ【天一天上】

  1. 〘 名詞 〙 民間暦で、天一神が天に上っている期間癸巳(みずのとみ)の日から戊申(つちのえさる)の日までの一六日間の称。この間は天一神の祟りがなく、どこへ出かけるにも吉とされ、縁起をかつぐ相場師はこの日を相場が上騰する諺として用いた。ただし、この一六日間は、天一神が天に上るかわりに、日遊神(天一の火神といわれる)が地におり、人家にとどまって祟りをするので、この間中屋内を清潔にせよともいう。天一。
    1. [初出の実例]「天一天上之間、蓋屋同所忌也」(出典小右記‐長和三年(1014)三月六日)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天一天上」の意味・わかりやすい解説

天一天上
てんいちてんじょう

方違の神である天一神 (なかがみ) が天に上がっている日をいう。日本陰陽家の説では,天一神は癸巳 (みずのとみ) の日から 16日間は天に上がっており,この期間には,人がどの方角に向って物事を行なってもさしさわりがないが,その他の日には,天一神は地上を遊行し,その方角に向って物事を行なってはならないとされた。

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世界大百科事典(旧版)内の天一天上の言及

【方違】より

…天一神忌は860年ころにはじまり《源氏物語》の〈手習〉には僧都が長谷寺参詣の帰り,病んだ母尼を小野の家へつれもどすべきを,天一神の方塞りで宇治院に移した話をのせ,〈帚木〉では源氏が内裏から方塞りの左大臣邸へきて女房たちのすすめで伊予守の家へ移った次第が述べられている。しかしこの神が天上に上る日は天一天上とて何事も吉とされ,藤原実資はその日に寝殿の檜皮をふかせた。王相は月塞りの禁忌であり,八将神は大歳,大将軍,大陰,歳刑,歳破,歳殺,黄旛,豹尾の諸神をさす。…

※「天一天上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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