デジタル大辞泉
「天一神」の意味・読み・例文・類語
なか‐がみ【天=一=神/中神】
陰陽道で、八方を運行し、吉凶禍福をつかさどるとされる神。己酉の日に天から下り、東・西など四方に5日ずつ、北東・南東など四隅には6日ずついて合計44日、癸巳の日に正北から天に上って16日間天上にいて己酉の日に再び下って前のように遊行する。この神の遊行の方角を塞がりといい、その方角に向かう場合は、方違えをする。てんいちじん。
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てんいち‐じん【天一神】
- 陰陽道でいう方角神の一つ。己酉(つちのととり)の日に天から下り、東北隅に六日、次には東方に移って五日というように順次に八方を回り、四隅におのおの六日、四方におのおの五日、計四四日で一巡し、癸巳(みずのとみ)の日に正北から天に上り、一六日を経て己酉の日に再び天から下って前のように回る。この神の遊行の際、その通路に当たる者には祟りをするといわれる。この信仰は平安時代に最も流行し、当時行なわれた方違(かたたが)えには、この神のいる方角を避けるためのものが多い。なかがみ。ながかみ。天一。〔河海抄(1362頃)〕
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天一神
なかがみ
陰陽道でいう暦神の一つ。中神,長神,「てんいちじん」ともいう。 12神将の主将,地星の霊,天女の化身など諸説がある。己酉 (つちのととり) の日に天から降り,四隅四方をめぐること 44日,癸巳 (みずのとみ) の日に天にのぼる。天上にいる間 (16日) を天一天上 (てんいちてんじょう) といって,さわりとなる方角はないが,地上にいる間 (44日) は,この神のいる方角を「ふたがり」といい,その方角に向って事をなすことを忌み,方違をする。逆にこの方角を吉とする説もある。
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世界大百科事典(旧版)内の天一神の言及
【方違】より
…外出するのにその方角が禁忌とされる場合,前日に他の方角へ赴いて泊まり,そこから目的の地にゆくものである。方忌の根拠としては生年の干支である本命から個人的に凶方を割り出し,これを避けるものと,天一神(中神(なかがみ)),太白神,金神,王相,八将神,土公神などの諸神が遊行する方角や鬼門を忌む人々に共通のものとがある。前者は865年(貞観7)8月21日に清和天皇が東宮より内裏に移ろうとしたとき,天皇の本命が庚午で,東宮より内裏の方向である乾は絶命に当たるゆえ避けらるべきことを陰陽寮が上奏し,このためいったん太政官曹司庁に入っており,これが初例とされている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」