太平洋共同体(読み)たいへいようきょうどうたい(英語表記)Secretariat of the Pacific Community; SPC

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平洋共同体」の意味・わかりやすい解説

太平洋共同体
たいへいようきょうどうたい
Secretariat of the Pacific Community; SPC

南太平洋島嶼地域の経済,社会,保健衛生に関する問題に助言を行なうための政府間協力機構。第2次世界大戦で混乱に陥ったこの地域の安定回復を目指し,1947年2月6日,キャンベラ条約に基づきオーストラリア,フランス,ニュージーランドオランダイギリス,アメリカ合衆国によって設立された。太平洋地域で最も古い国際組織で,本部ニューカレドニアヌメア。1947~98年南太平洋委員会 South Pacific Commission; SPC呼称
1951年にグアム島太平洋島嶼信託統治領が加盟し,範囲が北太平洋地域にも拡大したが,1962年にオランダ領ニューギニアイリアンジャヤ。西パプア)の統治権が国際連合の管理下に置かれ,オランダが脱退した。1965年には,1962年に独立した西サモア(→サモア)が島嶼国として初めて正式加盟し,その後,1969年のナウル,1971年のフィジーなどの独立国や自治権を獲得した地域が順次加盟した。1983年,サイパン島で開催された第23回南太平洋会議 South Pacific Conferenceで,22の加盟国・地域すべてに平等な議決権が与えられることになった。1997年に開かれた設立 50周年記念会議では,名称を南太平洋委員会から「太平洋共同体」に変更することが決まった。21世紀初頭までに加盟国・地域は 27となり,SPCは経済,環境,医療保健,教育などの問題に対処するための技術的助言や訓練,研究成果を提供する機関変貌を遂げた。2004年,原加盟国のイギリスが脱退したが,2021年に復帰。2023年現在,加盟数は 27ヵ国・地域。

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