日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイパン島」の意味・わかりやすい解説
サイパン島
さいぱんとう
Saipan
太平洋中西部、ミクロネシアにある島。マリアナ諸島ではグアム島に次ぐ第二の島で、1978年に成立した北マリアナ連邦の主島である。南北約23キロメートル、東西約10キロメートル、面積122平方キロメートル。火山島で、最高峰はタグポチャウTagpochau山(474メートル)。サトウキビ、コプラのほか、マンガン鉱、硫黄(いおう)を産する。人口7万5800(2001推計)。1521年マジェラン(マゼラン)が到達、1565年以来スペインが領有し、先住民のチャモロ人はカトリック教徒化されてその固有文化を失った。1898年スペインからドイツに売却、ガラパン港を中心に西海岸が開発され、さらに1924年以降、日本の南洋委任統治領となって、島の北半部のなだらかな高地一帯がサトウキビ農園として開かれた。ガラパンの町も一時は人口2万を数えたが、第二次世界大戦中の1944年、この町はいったん壊滅的な戦禍にあった。その後、アメリカ信託統治時代に急速に復興し、78年北マリアナ連邦成立とともにその首都になっている。また、島は連邦成立以来、観光開発に力が注がれている。島の南西岸チャラン・カノアChalan Kanoaはチャモロ人の最大の集落で、全島のショッピング・センターとなっている。サイパン国際空港(アスリート空港)へは成田、グアム島からの便がある。
[大島襄二]