失透(読み)シットウ

化学辞典 第2版の解説

失透
シットウ
devitrification

ガラスから結晶が析出する現象.熱力学的にガラスは安定状態にないから,ガラス転移点以上,液相温度以下の温度域に保つと結晶を析出し,不透明になる場合が多いので失透という.もっとも失透しやすい粘度は 104 P(ポアズ,1 P = 10-1 kg m-1 s-1)といわれている.この粘度域は成形,加工時にしばしば起こるので,実用ガラスでは適量のAl2O3を組成に加えて,失透に対する安全な粘度域の拡大をはかっている.逆に失透を利用したものに乳白ガラスやガラスセラミックスがある.

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百科事典マイペディアの解説

失透【しっとう】

溶融ガラスを冷却したり,透明なガラスを加熱する際に,組成によって決まるある一定温度範囲でガラス中に結晶が析出する現象。失透によりガラスは不透明になり,もろくなるため,ガラス製造に際しての重大な障害であるが,この現象を積極的に利用したものにデビトロセラミックスなどがある。
→関連項目ガラス

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精選版 日本国語大辞典の解説

しっ‐とう【失透】

〘名〙 元来熱力学的に不安定な状態にあるガラスがある温度で加熱されると結晶化が起こり、半透明または不透明になる現象。古いガラス管を加熱するとよく見られ、これは見た目も劣り、もろくもなるが、乳白ガラスやガラスセラミックスなどは逆にこれを利用したもの。〔稿本化学語彙(1900)〕

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世界大百科事典 第2版の解説

しっとう【失透 devitrification】

溶融状態にある原料からガラスを製造する際に,不透明な物質がガラス中に出現する現象をいう。一般には,ガラスが結晶化することが原因となって不透明化する。ガラスは本来熱力学的に非平衡状態であり,したがって熱処理の条件によって,あるいは結晶核を生成しやすい物質を含んでいる場合などには,本来の平衡相である結晶を析出することがある。ある組成のガラスが失透しやすいかどうかを決定する要因は溶融状態の粘度であり,粘度が低いものは失透しやすい。

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