奥野健男(読み)オクノ タケオ

20世紀日本人名事典 「奥野健男」の解説

奥野 健男
オクノ タケオ

昭和・平成期の文芸評論家 多摩美術大学名誉教授。



生年
大正15(1926)年7月25日

没年
平成9(1997)年11月26日

出生地
東京都渋谷区

学歴〔年〕
東京工業大学化学科卒

主な受賞名〔年〕
大河内記念技術賞(第5回 昭33年度)「プリント配線用銅貼積層板の研究とその実施」,全国発明表彰特許庁長官賞「銅被覆積層板の製造方法」,平林たい子文学賞(第12回)〔昭和59年〕「“間”の構造」,日本建築学会創立百周年記念文化賞〔昭和61年〕,芸術選奨文部大臣賞(第44回・平5年度)「三島由紀夫伝説」,紫綬褒章〔平成7年〕

経歴
大学在学中の昭和27年「太宰治論」を発表。28年東京芝浦電気に入社し中央研究所に勤務、36年退職。その間、31年「太宰治論」を刊行。また同人雑誌「現代文学」や「現代評論」を創刊以後、文芸評論家として活躍し、38年「“政治と文学”理論破産」は、新日本文学会と吉本隆明の間に大論争をひき起こした。47年作家とその生まれ育った風土との関係に注目した「文学における原風景」を発表。のちの文学的都市論の原形となった。59年「“間”の構造」で平林たい子文学賞を受賞。61年には日本建築学会創立百周年の記念文化賞を受賞。多摩美術大学教授も務めた。主要著書に「文学的制覇」「文学は可能か」「無頼異端」「文壇博物誌」「文学における原風景」「三島由紀夫伝説」などの他、「奥野健男文学論集」(全3巻 泰流社)「作家論集」(全5巻 泰流社)がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

百科事典マイペディア 「奥野健男」の意味・わかりやすい解説

奥野健男【おくのたけお】

評論家。東京生れ。東京工業大学卒業。在学中に吉本隆明と知り合う。また《大岡山文学》に《太宰治論》を発表して注目される。以降旺盛な評論活動を展開,1972年の《文学における原風景》では,都市文学論に先鞭をつけるとともに,〈原風景〉という一種の流行概念を生んだ。1984年,評論《〈間〉の構造》で平林たい子文学賞,《三島由紀夫伝説》で1993年度芸術選奨文部大臣賞を受賞。《奥野健男文学論集》全3巻,《奥野健男作家論集》全5巻。
→関連項目井上光晴

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「奥野健男」の解説

奥野健男 おくの-たけお

1926-1997 昭和後期-平成時代の文芸評論家。
大正15年7月25日生まれ。奥野健一長男。東芝中央研究所に勤務,大河内記念技術賞などをうけた化学技術者でもあった。昭和31年「太宰治(だざいおさむ)論」を刊行して注目され,33年同人誌「現代批評」を創刊。作家論にすぐれ,「坂口安吾」「伊藤整論」などもあらわす。59年「“間”の構造」で平林たい子文学賞,平成6年「三島由紀夫伝説」で芸術選奨。多摩美大教授をつとめた。平成9年11月26日死去。71歳。東京出身。東京工業大卒。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「奥野健男」の解説

奥野 健男 (おくの たけお)

生年月日:1926年7月25日
昭和時代;平成時代の文芸評論家。多摩美術大学教授
1997年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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