妹背・妹兄(読み)いもせ

精選版 日本国語大辞典 「妹背・妹兄」の意味・読み・例文・類語

いも‐せ【妹背・妹兄】

〘名〙
① 親しい男女の関係。特に、夫婦。夫婦の仲。互いに夫婦の仲を約束している場合にもいう。
古今(905‐914)恋五・八二八「流れてはいもせのやまのなかにおつる吉野の河のよしや世中〈よみ人しらず〉」
源氏(1001‐14頃)末摘花「たはぶれ給ふさま、いとをかしきいもせと見え給へり」
② 兄と妹。姉と弟。また、兄弟姉妹それぞれについてもいう。
※後撰(951‐953頃)雑三・一二一四「はらからの中にいかなる事かありけん、常ならぬさまに見え侍ければ むつまじきいもせの山の中にさへ隔つる雲のはれずもあるかな〈よみ人しらず〉」
ホトトギス別称。いもせ鳥。
[語誌]②の意は、もっぱら平安時代に用いられたもので、中世以降、兄弟姉妹の間柄は「いもうと」「せうと」で表わすようになり、中世の後半には「いもせ」はもっぱら夫婦の仲を表わすようになる。

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