家庭医学館 「子どものやせ」の解説
こどものやせるいそう【子どものやせ(るいそう) Emaciation in Childhood】
身長に対する体重の割合が著しく少ないか、体重が著しく減少した場合を、やせといいます(コラム「子どものやせの判定法」)。
摂取エネルギーが少なすぎたり、エネルギーの消費が多すぎたりすると、体脂肪(たいしぼう)が減ってやせてきます。
また、長期にわたって成長に必要なエネルギーが不足した状態が続くと、体脂肪が減るだけではなく、脂肪以外の成分も減少し、身長や頭囲の発育も悪くなります。
やせは、子どもの0.03~0.2%にみられ、年長児ほどその割合が増えてきます。
やせには、病気(消化器・腎臓(じんぞう)・心臓・肺の慢性疾患、甲状腺(こうじょうせん)・副腎(ふくじん)などの内分泌疾患(ないぶんぴつしっかん)、免疫不全(めんえきふぜん)などによる感染症のくり返し、神経疾患、先天性形態異常、代謝異常、貧血、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)など)の症状としておこる器質的(きしつてき)やせと、からだ自体にはやせる原因となる病気がなく、育児、保育環境、心理的な要素でおこる非器質的(ひきしつてき)やせとがあります。
乳幼児の非器質的やせの原因は、食事の与え方や食事の量の不足のほか、親や家族による精神的・肉体的な虐待(ぎゃくたい)でおこる愛情遮断症候群(あいじょうしゃだんしょうこうぐん)などさまざまです。
学童から思春期にかけては、極端な偏食(へんしょく)や神経性食欲不振症(しんけいせいしょくよくふしんしょう)(「摂食障害」の神経性食欲不振症(拒食症)などによるやせが増えてきます。また、体質的なやせも多く、以前からやせていて、食欲もあり、元気がいいことも多く、病気とはいえません。
[治療]
乳児のやせは、病気や栄養不足のことが多く、医師の診察が必要です。学童期以降の非器質的やせ、とくに体質的なやせは、心配いりません。しかし、体重がしだいに減少してくるような場合は、神経性食欲不振症のこともあるので、たとえ元気があっても医師の診察が必要になります。