家庭医学館 「やせ」の解説
やせるいそう【やせ(るいそう) Emaciation】
やせとは、体重が異常に減っている場合をいいますが、肥満の反対、つまり脂肪だけが減っているということではありません。筋肉など、脂肪以外の組織も減少している状態をいいます。
ふつうは、標準体重のマイナス20%未満をやせとしています。しかし、人それぞれで、体重がほぼ一定している場合には、標準体重より少ないからといって、すぐ病的だとはいえません。
むしろ、標準体重より少しやせぎみのほうが、糖尿病や高血圧、高脂血症など、いわゆる「生活習慣病」にかかりにくいことがわかっています。
肥満の場合は、食べる量が消費する量より多いことが大部分ですが、やせの場合は、いろいろな病気が原因となっている場合があります。
やせの原因は、世界的にみると食料不足によるものが多いのですが、日本では、かつては結核(けっかく)やそのほかの感染症など、伝染性の病気にともなっておこるやせ(外因性)が問題でした。
それが現在では、がんや内分泌(ないぶんぴつ)(ホルモン)の病気、精神や神経に原因がある内因性のものが、原因として重要になってきています。
[原因]
カロリーの摂取を極端に減らしていないのに、体重の減少が著しいときは、重大な病気が原因となっている場合があります。
消化・吸収の障害による消化器の病気では、食道、胃、腸、膵臓(すいぞう)、肝臓、胆嚢(たんのう)などの病気によって、やせがおこることがあります。
からだの中で栄養の利用がうまくいかないとか、代謝が異常にさかんで摂取したエネルギーの消耗がはげしいといった内分泌・代謝に問題がある病気としては、糖尿病(「糖尿病」)と甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)(バセドウ病など(「バセドウ病(グレーブス病)」))が、やせの原因としてよくみられます。
神経や精神に原因があっておこる精神科で扱う病気としては、神経性食欲不振症(しんけいせいしょくよくふしんしょう)(摂食障害(せっしょくしょうがい)(「摂食障害」))が代表的なやせの原因です。
そのほか、感染症やいろいろながん、外傷、手術などでもやせをおこす原因となります。
[治療]
なにか原因となっている病気がある場合は、その病気を治療することが先決です。