家庭医学館 「子どもの白血球減少症」の解説
こどものはっけっきゅうげんしょうしょう【子どもの白血球減少症 Leukopenia】
血液中の白血球が減少している状態をいいます。おもに好中球減少症(こうちゅうきゅうげんしょうしょう)とリンパ球減少症(きゅうげんしょうしょう)が問題になります。
■好中球減少症(こうちゅうきゅうげんしょうしょう)
好中球は、感染防御のはたらきをしている白血球の1つで、好中球が減少すると感染症にかかりやすくなります。
感染症を合併しやすく、発熱、のどの痛み、口腔内潰瘍(こうくうないかいよう)、直腸潰瘍(ちょくちょうかいよう)ができやすく、治りにくい皮膚感染症(おでき)が多発することがしばしばです。
原因として、もっとも多いのは、骨髄(こつずい)でつくられる好中球の数よりも、細菌やウイルスの感染によって破壊される好中球のほうが多いためにおこるものです。
そのほか、薬剤の使用、化学物質や放射線との接触、免疫反応(めんえきはんのう)、栄養障害、先天性や遺伝性のものもあります。
■リンパ球減少症(きゅうげんしょうしょう)
リンパ球は、体内に入ってきた物質を、生まれつき体内にもっていたものか、そうでないものか識別するはたらきがあります。この免疫応答をつかさどるリンパ球が減少する病気です。
免疫不全症候群(めんえきふぜんしょうこうぐん)、免疫抑制薬、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンの使用や放射線照射によって、リンパ球の減少がおこります。
[検査と診断]
静脈から採血して調べます。好中球減少症は、骨髄を調べたり、白血球抗体(こうたい)の有無をみるなどして、つくられる好中球が少ないのか、破壊される好中球が多いのか、その両方なのかをみきわめます。
家族に同じ病気の人がいないか、形態異常の有無、薬物や化学物質との接触の有無、感染症との関係なども調べられます。
[治療]
原因となる病気がある場合は、その病気を治療します。また、感染症にかからないよう注意します。
好中球減少症では、症状のないことが多く、その場合はとくに治療は必要ありません。感染症にかかったら、抗生物質の使用や顆粒球(かりゅうきゅう)の輸血を行ないます。
リンパ球減少症の原因となる重症複合免疫不全症(じゅうしょうふくごうめんえきふぜんしょう)には、遺伝子治療(遺伝のしくみの「遺伝子治療の現状と将来」)も試みられています。