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免疫不全症候群 メンエキフゼンショウコウグン

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デジタル大辞泉の解説

めんえきふぜん‐しょうこうぐん〔‐シヤウコウグン〕【免疫不全症候群】

免疫機構が機能しないため、病原微生物への抵抗力がなく、感染症に繰り返しかかり、重症化し、治りにくい状態を呈するもの。原発性のものと後天性のものとがある。

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家庭医学館の解説

めんえきふぜんしょうこうぐん【免疫不全症候群 Immunodeficiency Syndrome】

[どんな病気か]
 人間の周囲の環境には多くの微生物が生存し、体内にも多くの常在菌(じょうざいきん)がすみついています。しかし、それほどかんたんに感染症をおこさないのは、体内に異物(いぶつ)から身を守る感染防御機構、すなわち免疫(「免疫のしくみとはたらき」)のしくみがあるためです。
 血液中の白血球(はっけっきゅう)は、好中球(こうちゅうきゅう)やリンパ球、単球(たんきゅう)などの細胞の総称ですが、これらの細胞が、おもに免疫のはたらきを担っています。この免疫のはたらきが、なんらかの原因で低下し、いろいろな感染症にかかりやすくなった状態を、免疫不全症候群といいます。
 免疫不全が遺伝的な原因でおこるものを先天性(せんてんせい)(原発性(げんぱつせい))免疫不全症候群(めんえきふぜんしょうこうぐん)といい、種々の原因によって後天的におこった免疫不全を後天性(こうてんせい)(続発性(ぞくはつせい))免疫不全症候群(めんえきふぜんしょうこうぐん)といいます。後者の代表的な病気がエイズ(「エイズ/HIV感染症」)です。
[症状]
 特徴的な症状は、感染症がおこりやすいことです。中耳炎(ちゅうじえん)、副鼻腔炎(ふくびくうえん)、気管支炎(きかんしえん)、肺炎(はいえん)などを何度もくり返し、長引いたり、重症化しやすい傾向があります。とくに先天性免疫不全症候群では、生後半年ころから、感染症にくり返しかかることが多くなります。また、免疫が低下すると、病原性の弱い菌や常在菌によっても重症の感染症がおこりやすくなります。これを日和見感染症ひよりみかんせんしょう)といい、エイズなどではしばしばみられます。
[検査と診断]
 先天性免疫不全症には遺伝するものがあるため、家族に同じ病気の人がいるときは、それが診断に重要な情報となります。
 免疫にかかわる血液成分の測定がもっともたいせつな検査です。その1つが血清(けっせい)中のたんぱく質、とくにγ(ガンマグロブリン呼ばれる成分の測定です。おもにこの成分に抗体(こうたい)が含まれているからです。また、好中球やリンパ球の数の減少も重要な所見です。
 ツベルクリン反応は、結核菌(けっかくきん)の成分を使った一種の免疫反応で、これが陰性か、陽性であるものが陰性になった場合は、免疫不全によることもあるため、参考になります。
[治療]
 免疫不全をおこす原因によって、治療法も異なります。
 γグロブリンの減少や欠損のために抗体が欠乏する場合は、γグロブリンを定期的に静脈注射する補充療法が行なわれます。
 T細胞というリンパ球が障害された場合は、この細胞をつくり出すはたらきのある骨髄(こつずい)が移植されることもあります。また、ADA(アデノシンデアミナーゼ)という酵素(こうそ)が生まれつき欠けている重症複合免疫不全症(じゅうしょうふくごうめんえきふぜんしょう)では、ADAをつくる遺伝子をからだに組み込む治療(遺伝子治療(いでんしちりょう))も実用化されつつあります。
 感染症に対しては、抗生物質が使われます。あらかじめ感染を予防するために、ペニシリンを毎日内服することもあります。
 先天性免疫不全は、放置すると成人になる前に死亡することも多く、十分な診療と管理が必要で、感染予防を心がけます。後天性免疫不全では、原因となる病気の治療がたいせつです。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

免疫不全症候群
めんえきふぜんしょうこうぐん
immunodeficiency syndrome

生体の感染防止能力をもつ免疫機構すなわち抗体を産生する細胞系が、なんらかの原因によって障害され、有効に機能しなくなった状態をいう。種々の病原体による感染頻度の増大、同一感染因子による反復感染、感染症の重症・慢性・難治化などのほか、普段はほとんど侵されない弱毒菌による感染(いわゆる日和見(ひよりみ)感染)をおこすことが特徴とされている。
 先天性(原発性)と後天性(続発性)に分けられる。原発性免疫不全症候群は、生まれつき免疫機構に障害のあるもので、大部分は遺伝的原因による。おもにリンパ球の欠損、減少、機能異常によって生ずる。おもな疾患には、無γ(ガンマ)グロブリン血症、重症複合型免疫不全症、ウィスコット-アルドリッチWiskott-Aldrich症候群等がある。続発性免疫不全症候群は、基礎疾患や医療行為などに随伴しておこるものをいう。基礎疾患としては、細胞性免疫不全をおこすホジキン病など、体液性免疫不全をおこす多発性骨髄腫などがあり、医療行為による医原性のものとしては、放射線照射、免疫抑制剤や副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤などの投与、脾(ひ)臓や胸腺など免疫担当組織を摘出する外科的処置などがあげられる。このほか、ウイルス感染、進行癌(がん)、内分泌異常、栄養低下、老化などによるものもあり、AIDS(エイズ)は、HIV感染によりヘルパーT細胞が破壊され重篤な免疫不全を示す。
 免疫不全症候群は、血液検査によって、正常な血清タンパク質の一部が欠如していたり、異常な血清タンパク質が増えている場合に診断される。また、日常的に接触している病原微生物に対する抗体がどの程度存在するかを調べる検査も行われる。原発性の場合には、家族の病歴を調べる。治療としては、補充療法などの対症療法が行われる。[山口規容子]
『菊地浩吉編『医科免疫学』第3版(1989・南江堂) ▽塚田聡編『免疫不全の分子医学』(1996・羊土社) ▽日本臨床内科医会編『診断、治療、病診連携、ケアのためのHIV/エイズ診療のてびき』(1999・文光堂)』

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