家庭医学館 「子どもの身体化症状」の解説
こどものしんたいかしょうじょう【子どもの身体化症状 Somatoform Disorders】
子どもが葛藤(かっとう)や苦悩の表現として腹痛などの身体症状を訴える(身体化)ことがよくあります。たとえば、不登校(ふとうこう)の初期に、多くの子どもがこうした身体症状を訴えることはよく知られています。
身体症状としては腹痛、頭痛がもっとも多く、そのほかには表「子どもによくみられる身体化症状」に示したような症状がみられます。その多くは小児科などで検査しても医学的な異常が認められないことが多いため、「精神的なもの」と簡単に片づけられたり「仮病(けびょう)」と否定的に捉(とら)えられがちです。
また、からだの病気が治れば学校に行けるはずだと考えてからだの治療に専念しようとしても、背景にある葛藤が解決しなければ、子どもはますますその身体症状にしがみつく、といった悪循環に陥ることもよくあります。
痛み止めなどの薬に頼るのも、こうした症状を「強化」してしまうことがあるので注意が必要です。
[治療]
精神的なものだなと思っても、たとえばおなかが痛いこと自体は認めてあげるほうが、子どもが身体症状を「手放す」近道になります。そうしながら、子どもの心のなかで、あるいは家庭や学校で何がおこっているのかを考えていきましょう。
なお、気管支(きかんし)ぜんそくやアトピー性皮膚炎(せいひふえん)、円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)など心理的要因が影響するからだの病気は心身症(しんしんしょう)(「心身症」)と呼ばれています。