円形脱毛症(読み)えんけいだつもうしょう(英語表記)alopecia areata

  • (皮膚の病気)
  • えんけいだつもうしょう ヱンケイダツモウシャウ
  • えんけいだつもうしょう〔ヱンケイダツモウシヤウ〕
  • 円形脱毛症 Alopecia Areata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

後天性の脱毛症で,突然,頭髪円形楕円形脱毛する症状。ときには脱毛斑部に一致して軽度の発赤,腫脹を認めることがあり,脱毛斑は遠心性に拡大する。治癒するときは脱毛斑の中心部から毛髪が再生する。大きさは貨幣大から鶏卵大ぐらいだが,脱毛斑が多発する場合は,個々のものが拡大して相互に融合し,全頭脱毛症になることがある。眉毛ひげまつげ腋毛,陰毛などにも同様の脱毛が生じ,全脱毛に及ぶものは全身性脱毛症あるいは悪性円形脱毛症という。痛みなどの自覚症状はまったくない。原因はまだよくわかっていないが,少くとも伝染性の疾患ではなく,自律神経内分泌の障害,自己免疫などが考えられている。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

日本皮膚科学会によると、毛が抜けて数が少なくなる脱毛の代表例が円形脱毛症。コインのように円く脱毛する単発型だけでなく、1カ所に限らない多発型、頭全体に及ぶ全頭型、全身の毛が抜ける汎発型、生え際帯状に抜ける蛇行型がある。YUKIさんや角田さんの症状も該当する。ストレスが原因と思われがちだが、多くの人は関係なく始まっている。成長期の毛包リンパ球攻撃を受けて壊されることが原因。理由は完全には分かっていないが、毛包を標的にした自己免疫病と考えられている。頻度人口の1~2%と推測され、どの年齢でも発症するが、患者の4分の1は15歳以下で始まる。男女差はないという。

(2019-09-13 朝日新聞 朝刊 群馬全県・2地方)

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百科事典マイペディアの解説

円形の境界明確な脱毛斑が1個または数個生じるもの。主として頭部に発生する。大きさや数はさまざまで,大きなものは径数cmに達し,隣接脱毛部が融合し,ときには全頭髪が脱毛する。普通6〜8週間持続し自然に再生するが,年余を要するものもある。自律神経や血管の機能障害,内分泌障害,精神的ストレスなどが原因とされ,自己免疫が関与するともいわれるが,まだ原因は不明。治療は内服薬,外用薬,注射,光線療法,ドライアイスや液体窒素による圧抵療法など。
→関連項目太陽灯脱毛症

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とっさの日本語便利帳の解説

突然現れる円形ないし楕円形の脱毛巣を生じる疾患。頭部に生じることが多い。原因はよく分からないが、自律神経障害、ストレス、内分泌障害、自己免疫などが関係しているといわれ、大部分は自然治癒する。

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家庭医学館の解説

[どんな病気か]
 頭髪が部分的に抜けおち、円形の斑(はん)(脱毛斑(だつもうはん))ができるものです。脱毛が頭部全体におよぶことや、眉毛(びもう)(まゆ毛)、体毛などが抜ける場合もあります。
 原因には、精神的ストレス説、血管障害説、自己免疫説(じこめんえきせつ)など、さまざまの説がありますが、真の病因はまだ解明されていません。
 脱毛部に感嘆符毛(かんたんふもう)(先端は正常だが、根元に近づくにつれて細く、色が薄くなる毛のことで、感嘆符「!」に似ている)などの病的毛がみられたり、周辺部の毛が抜けるときは、まだ進行しています。
[治療]
 円形脱毛症は、一般に自然治癒(しぜんちゆ)する傾向があります。また、治療に反応する場合としない場合とがあります。
 全身療法としては、血行改善剤、抗アレルギー薬などを内服します。局所療法としては、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)外用剤などを脱毛したところに塗布(とふ)または塗擦(とさつ)します。
 また、一種の局所免疫療法として、ドライアイス圧抵療法(あっていりょうほう)とSADBE療法があります。ドライアイス圧抵療法は、チョーク状に固めたドライアイスを脱毛部に3~4秒間押しつける方法です。SADBE療法は、ドライアイスのかわりにSADBE液を脱毛部に塗布して軽い皮膚炎をおこさせ、発毛をうながす方法です。いずれも約2週間隔で行ないます。難治性(なんちせい)の脱毛症にかなりの効果があります。
 容易に発毛しない人は、精神的不安や苦痛を軽減させるため、かつらを着用するのがよいでしょう。

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食の医学館の解説

《どんな病気か?》


〈原因不明だが、精神的ストレスが悪影響を与える〉
 円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)は、ある日突然、頭にコイン大のはげができる病気です。丸いはげが1つだけできるものから、頭髪全体におよぶもの、まゆ毛、まつ毛、陰毛(いんもう)や体毛など、ほぼ全身の毛が抜けるものもあります。
 脱毛部のまわりの毛を軽く引っぱっただけで数本の毛が抜けたり、感嘆符毛(かんたんふもう)(根元が細く感嘆符「!」に似た毛)がみられるあいだは、まだ進行しています。
 原因には精神的ストレス、血管障害、免疫異常(めんえきいじょう)などさまざまな説がありますが、くわしいことはわかっていません。ほとんどの場合、自然治癒(ちゆ)するといわれていますが、円形脱毛症になりやすい体質の人は、しばしば再発をくり返します。
 最近は、家庭内や仕事上のストレスが原因と思われるケースがふえ、大人の男女ばかりか、小学生の子どもにもみられます。

《関連する食品》


〈ビタミンCとパントテン酸で抗ストレス力をつける〉
○栄養成分としての働きから
 精神的ストレスがあって円形脱毛症になった人は、ストレスに負けない体をつくることが第一です。そのためには、たんぱく質とビタミンC、パントテン酸などをとることです。
 ストレスが加わると、腎臓(じんぞう)の隣にある副腎(ふくじん)から副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンが分泌(ぶんぴつ)され、その働きで血糖値(けっとうち)が上がり、エネルギーが増大してストレスと戦う態勢がととのいます。このホルモンの生成に使われるのがたんぱく質とビタミンCで、副腎の働きを強化するのがパントテン酸です。
 脱毛を改善する成分も必要です。ビタミンB群のビオチンは、不足すると髪が抜けるといわれています。腸内細菌によって合成されるビタミンなので、便秘に注意して、整腸作用のあるものをとりましょう。
 また、ビタミンEは血液の流れをよくし、地肌と髪に栄養分をゆきわたらせるのに役立ちます。
 ビタミンEとCの両方を含む食品にはカボチャやブロッコリー、ホウレンソウなどの緑黄色野菜があります。またレバーには、たんぱく質、パントテン酸、ビオチンが豊富です。
 たんぱく質は納豆やたまご、サケ、イワシなどの魚にも多く含まれ、納豆とサケにはパントテン酸、たまごとイワシにはビオチンがそれぞれ含まれています。
 さらに、ピーナッツにはパントテン酸とビオチンが含まれています。
 十分な栄養をとり、そのうち治ると、気にしないことがたいせつです。
○漢方的な働きから
 黒ゴマを食べたり、焼酎(しょうちゅう)につけておいたセンブリを患部にすり込む方法が有効とされています。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

自覚症状なく突然に円形の脱毛部(はげ)を生ずる病気。原因には諸説があって確定していない。禿頭(とくとう)病ともよばれる。おもに頭髪が侵されるが、まゆげ、まつげ、ひげが侵されたり、わきげ、陰毛、体毛など全身の毛が脱落してしまうこともある。軽症では自然治癒する。しかし、再発率も高い。

[齋藤公子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 内分泌、自律神経などの障害により、突然頭部に円形の脱毛が生じるもの。円形禿髪(えんけいとくはつ)。台湾坊主(たいわんぼうず)
※日本人のへそ(1969)〈井上ひさし〉一幕「頭髪が大小の円形に欠落する円形脱毛症」

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か・原因は何か

 脱毛の原因としては最も多い疾患です。大部分の人は自然に治ってしまいます。

 精神的ストレスが原因であると広く信じられていますが、これは主要な原因ではありません。現在では自己免疫が原因と考えられています。自己免疫とは、本来細菌やウイルスの感染から体を守る免疫が自分の体の成分に反応して損傷を与えてしまうことです。円形脱毛症では、毛が抜けても毛包(もうほう)は残っているので、発毛の可能性は常にあります。

症状の現れ方

 円形脱毛症では頭の毛が円形(類円形)に突然抜けてしまいます(図99)。かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。通常の円形脱毛症のほかに、頭の毛がすべて抜けてしまう全頭脱毛症(ぜんとうだつもうしょう)、眉毛・まつ毛・腋毛(えきもう)・陰毛などの体中の毛も抜けてしまう汎発型(はんぱつがた)脱毛症があります。毛だけではなく爪にも点状のへこみが認められることがあります。また、円形脱毛症はアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患や自己免疫性疾患などと合併する頻度が高くなっています。

検査と診断

 病歴や脱毛の性状から診断は可能です。自己免疫性疾患の合併頻度が高いので、自己抗体の検査を行います。

治療の方法

 治療の主体は脱毛部位の免疫を抑えたり、変調させる方法です。非特異的に脱毛部位を刺激することも行われています。

 外用治療としては副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬と塩化カルプロニウム液の外用を行います。ステロイド薬を脱毛部位に直接注射する方法もあります。

 難治性の場合は、PUVA療法やナローバンドUVB療法という紫外線治療を行います。PUVA療法ではソラレンを外用後、脱毛部位に長波長の紫外線(UVA)を照射します。

 非特異的刺激療法として液体窒素(ちっそ)凍結治療があります。脱毛部位に液体窒素をひたした綿棒を接触させたり、液体窒素をスプレーで吹きつけます。

 接触免疫療法と呼ばれる、脱毛部位の免疫を変調させる方法もあります。この方法ではSADBEなどの化学物質に対する接触皮膚炎を人工的に引き起こします。

 脱毛部位が広範囲で難治性の場合はステロイド薬の内服治療を行います。ただし、ステロイド薬の全身投与は、中止すると再び脱毛してしまうので、円形脱毛症には行うべきではないという意見もあります。

病気に気づいたらどうする

 円形脱毛症は自然に治る場合がほとんどですが、一部の人では長期間治らなかったり、脱毛部が広がり全頭型や汎発型になることもあります。難治性の場合も早期に治療するほうが治る率が高いので、早めに皮膚科を受診することが大切です。

嵯峨 賢次


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典内の円形脱毛症の言及

【脱毛症】より

…おもな脱毛症は次のとおりである。(1)円形脱毛症 毛髪疾患の約70%を占める。円形ないし楕円形の脱毛巣が,ほとんど自覚症状なしに髪のある頭部に出現,しばしば進行,拡大して数を増す。…

※「円形脱毛症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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