不登校(読み)フトウコウ

デジタル大辞泉 「不登校」の意味・読み・例文・類語

ふ‐とうこう〔‐トウカウ〕【不登校】

学校に不安・恐怖を感じる何らかの心理的理由や、本人を取り巻く家庭・学校・地域社会の状況などさまざまな要因が重なって、児童・生徒が登校できないでいる状態。ずる休みとは違うものと認識される。登校拒否

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共同通信ニュース用語解説 「不登校」の解説

不登校

文部科学省は、病気や経済的理由がなく、1年間で30日以上欠席することを不登校と定義する。2022年度調査によると、全国の小中学校で不登校の児童生徒は21年度から5万人以上増の29万9048人となり、過去最多を更新した。うち38・2%に当たる11万4217人が、学校内外で専門家らによる支援を受けられていなかった。文科省は23年3月に総合的な対応方針を公表。「校内教育支援センター」のほか、「学びの多様化学校(不登校特例校)」や校外の教育支援センターといった体制整備を進めている。

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精選版 日本国語大辞典 「不登校」の意味・読み・例文・類語

ふ‐とうこう‥トウカウ【不登校】

  1. 〘 名詞 〙 児童・生徒が登校しなくなること。登校したいという気持はありながら、心理的、情緒的、身体的な理由、もしくは社会的要因によって登校しない、または登校できない状況をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不登校」の意味・わかりやすい解説

不登校
ふとうこう

児童生徒の心身の状態や彼らをとりまく家庭、学校、地域社会の状況など、さまざまな原因によって児童生徒が登校しない、あるいは、登校したくてもできない事態をさす。

 このような事態には、当初「学校恐怖症」school-phobiaや「登校拒否」refuse to go to schoolということばが使われていた。

 これらは児童生徒の問題行動のうちでも、その性格上、非行や暴力など他者へ害を及ぼすような反社会的行動と区別され、引きこもりや緘黙(かんもく)などのように、本人自身の現在あるいは将来にとって支障になると思われるような非社会的行動の一つととらえられ、登校する意思を秘めながら登校時になると原因不明の頭痛や腹痛、強い心配や不安などの神経症状に襲われて登校を拒む状態が生じるようになる場合が多い。

 日本では、1960年代に多く出現し、単なる怠学やずる休みとは異なる状態であるという認識がなされ始め、1970年ごろからは「登校拒否」とよばれるようになった。しかし、今日では登校しないという事態は、かならずしも本人の心身の状態にのみ起因するのでなく、その背後に家庭、学校、地域社会を含むさまざまな要因が考えられ、また、登校しないという事実そのものへの認識が強調され、「登校拒否」にかわって「不登校」という呼称が多く用いられるようになった。

 不登校は、客観的に妥当な理由が明確にみいだされないまま、年間30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的理由を除き、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること」(学校不適応対策調査研究協力者会議による定義)であるとされ、発達過程での一次的な現象から精神障害の症状まで含めてとらえられており、より幅広い概念として理解されている。

 文部省(現、文部科学省)でも、学校嫌いを理由に年間30日以上欠席した児童生徒を「登校拒否」とよんでいたが、1999年度(平成11)からこれを「不登校」と改称している。

[増田 實]

原因と様態

「不登校」の正確な数をみいだすことは困難であるが、2011年度(平成23)、心理的要因などで登校しない、またはできない長期欠席者は、小学校で2万2622人、中学校で9万4836人とされている(文部科学省調査)。

 その原因は一様ではないが、学校の方針や指導などに対する本人の納得の度合いが少ない、という点では共通する部分が多い。また、家庭が子供たちの成長の土台として不十分であることもおもな要因の一つにあげられる。しかし、どの子供にも、どの家庭にも、不登校を生じさせる可能性は存在すると考えられる。

 「不登校」の様態には、(1)学校生活に起因する型、(2)遊び・非行型、(3)無気力型、(4)不安などの情緒的混乱型、(5)意図的な拒否型、(6)複合型((1)~(5)が複合していて特定不能)、(7)その他(以上のいずれにも該当しない)があるといわれている。小学校における「不登校」では(4)の型、すなわち、登校の意思はあるが心身の不安・不調が強いなどの場合が多く、また、中学校では(3)の型、すなわち、学習への意欲に欠けている、何となく気力が出ない、などに起因する場合が多い。

[増田 實]

援助・支援策

同じ「不登校」であっても、その状態は個人によってさまざまであるので、それに応じたきめ細やかな援助・支援の方策を講じる必要がある。

 予防的側面として、(1)どの子供にも起こり得るという認識をもつこと、(2)不登校の前兆行動などの知識を得ておくこと、(3)子供との日常的な接触を密にすること、などが考えられる。また、治療的側面として、(1)カウンセリング的態度をもとに、その事態にふさわしい技法や援助法を選択すること、(2)家庭と学校の連携・協力態勢(ネットワーク)を確立し、対応中心者を明確に定めておくこと、(3)専門的諸機関(相談所、病院など)との連携を図ること、などがあげられる。

 「不登校」対策には、とくに専門的な第三者のかかわりが効果的である、と考えられる。この点で「スクールカウンセラー」(1995年度より文部省の活用調査研究委託事業として開始、2001年度からは恒常的制度に移行)は、不登校児童生徒への援助者・支援者となることが期待されている。また、単に学校に復帰することを考えるのではなく、不登校児童生徒が自らの力で問題状況を克服して自立に向かう、という視点も重視されるよう求められる。そのため、地域社会や学校外の諸施設との連携をよりいっそう深め、フリー・スクールなどの民間施設がこの対策の一つになる、と考えられている。文部科学省は、一定の要件を満たす場合、これらの民間施設で相談・指導などを受けた日数を指導要録上の出席扱いにし、小・中学校の卒業認定に幅をもたせる方策を講じている。

 「不登校」経験者のその後に関して、文部科学省ではその追跡調査を行っており、2013年(平成25)7月の報告によると、2006年度に中学校3年で不登校だった全国の1604人(2013年時点では22歳前後)に対して中学校卒業後の進路などをたずねているが、その直後に進学した者は81%、就職した者が6%、進学も就職もしなかった者が8%であり、その後に進学した者を含めた高等学校への進学率は87%であった。このうち61%が望みどおりの高校があった、と答えている。2011年度時点での彼らの通学状況は、大学19%、短期大学4%、専修学校・各種学校15%、通信制高等学校6%となっている。1993年度(平成5)に中学校を卒業した不登校生徒を対象とした調査よりも進学率は上昇しており、とくに高等学校への進学率は65%から20%以上も増加している(文部科学省「平成五年度不登校生徒追跡調査報告書」)。

 これらをみると、不登校は、発達上の一時的現象であり、その時点での判断を超えて時間的に長いスパンでとらえる見方が求められる、といえよう。

[増田 實]

『詫摩武俊・稲村博編『登校拒否』(1980・有斐閣)』『内山喜久雄編『登校拒否』(1983・金剛出版)』『坂野雄二編『登校拒否・不登校』(1990・同朋舎出版)』『高垣忠一郎著『登校拒否・不登校をめぐって――発達の危機、その「治療」と「教育」』(1991・青木書店)』『吉田脩二・生徒の心を考える教師の会編著『不登校――その心理と学校の病理』(1993・高文研)』『稲村博著『不登校の研究』(1994・新曜社)』『高垣忠一郎・藤本文朗・横湯園子編『登校拒否・不登校1 小学生』』『高垣忠一郎・藤本文朗・横湯園子編『登校拒否・不登校2 中学生』』『高垣忠一郎・藤本文朗・横湯園子編『登校拒否・不登校3 高校生』(ともに1995・労働旬報社)』『畑島喜久生著『「いじめ」「不登校」という教育のひずみ』(1997・高文堂出版社)』『佐伯胖・黒崎勲他編『岩波講座 現代の教育4 いじめと不登校』(1998・岩波書店)』『河合隼雄編『不登校』(1999・金剛出版)』『総務庁行政監察局編『いじめ・不登校問題などの現状と課題』(1999・大蔵省印刷局)』『牟田武生著『ひきこもり/不登校の処方箋――心のカギを開くヒント』(2001・オクムラ書店)』

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家庭医学館 「不登校」の解説

ふとうこうとうこうきょひ【不登校(登校拒否) School Refusal】

[どんな病気か]
 小学生中学生、高校生に広くみられる「学校へ行かない」あるいは「行かれない」現象であり、特定の病気ではありません。怠学(たいがく)とは異なり、さまざまな心理的要因を基盤とします。
 思春期子どもたちは、情緒発達にともなう不安定さと社会性の獲得にともなう葛藤(かっとう)のまっただ中におり、日常的な出来事のなかで随時、心を揺らし、悩んだり、考えたり、行動したりしながらこれらを克服しようとしています。しかし、ときに、生じた問題がその子どもの克服する力を超えてしまうことがあり、そのようなときに子どもの示す現象の1つが不登校です。
 その原因を何か1つに求めることは、その子どもを理解するには不十分なばかりか、しばしば的(まと)外れな見方をして、かえって子どもを苦しめてしまうこともあります。少なくとも「子ども自身」「家庭」「学校・仲間集団」の3つのそれぞれの要素についてよく検討して対処する必要があります。
[症状]
 不登校のタイプには、以下のようなものがあります。
●過剰適応型
 親からの分離をしようと、子どもは「背伸び」をして自分をとりまく環境に適応しようとします。「背伸び」自体は健康的なはたらきなので心配せず見守ることが必要ですが、結果として成功せず、挫折(ざせつ)した場合にみられる不登校がこのタイプです。
 主として親や学校の示す期待を負おうとする子どもに多く、このタイプの不登校が生じると、子どもの挫折はそのまま親あるいは教師の挫折となり、おとなの心へも動揺をひきおこします。
 子どもに対する強い期待が子どもの心の余裕を奪って疲労困憊(ひろうこんぱい)させていることにおとなが気づかないと、ヘトヘトの子どもに「がんばっていい子だ」とさらなる無理を知らず知らずのうちに強要していたり、がんばったはての子どもの挫折を「根性がない」と一方的に責めるといった、まちがった対応をしてしまいます。
●受動型
 中学・高校年代の荒々しくなった仲間集団や、それに対応して厳しく指導が行なわれる学校の雰囲気に圧倒され、不登校に陥るタイプです。
 この型には幼いころから受身的・消極的な子どもが多いようです。子どもに「従順さ」を過度に求める傾向のあるおとなは、子どもの従順さによって自分の権力や能力を確かめようとしていることに気づきにくいものです。
●衝動統制未熟型
 衝動をコントロールして行動することが苦手なために自己中心的な振る舞いが多く、仲間集団の暗黙のルールが読めずに、みんなとズレた振る舞いや加減を知らない乱暴な振る舞いをしてしまう子どもたちが、仲間集団や学校との摩擦を生じ、結果として孤立するために登校する意欲を失ってしまうといった型の不登校です。
 これは注意欠陥(ちゅういけっかん)・多動性障害(たどうせいしょうがい)の子どもにみられる不登校を典型例として想定されています。このような子どもの行動は「しつけの欠如」や「わがまま」ではありません。このような子どもをむやみに叱(しか)りつけることは「自分はだめな子だ」「自分は悪い子だ」といった思いを助長し、子どもの自尊心をさらに傷つけてしまいます。
●境界例型
 中学年代以降の比較的高学年にみられます。多彩な神経症症状や問題行動に加え、不安定な対人関係や、急に激しい怒りを爆発させたり、自傷行為や自殺企図に走るといった衝動性などがおもな特徴です。対人関係を求めず閉じこもりがちな生活を延々と送り、社会的な能力を発展させてこないような青年もいます。
[日常生活の注意]
 不登校のさなか、子どもの多くは、理由は何であれ、学校へ行っていない自分を責め、親を悲しませていることを知っており、心を閉ざして自分を守る反面、孤独のただ中におかれています。原因やきっかけがあったとしても、子どもたちは「学校に行っていない」だけで十分に「悪い子」になったと自分を責めている以上、原因解決をしようなどと簡単には思えません。子どもの心の真の理解を深めるために、少なくともおとなたちはこのような時期をできるだけ早く乗り越え、落ちついて判断することがたいせつです。そして「学校に行かない子ども」の心にゆっくりと付き添っていくことはいうまでもありませんが、子どもは孤独や不安のあまりに、暴力や自分を傷つける行動や、自殺をほのめかすことも少なからずみられ、対応に苦慮するものです。
 ここで大事なことは、親や周囲のおとなは、暴力や自傷行為を無視したりせず「してはいけない」と伝えることなのです。これは挫折して自尊心を失いかけている子どもにとって、自分を取り戻す過程としてきわめて重要なことです。伝えるおとなの側にも、もちろん重大な責任を担うという覚悟(かくご)がいるわけで、ここで真に子どもの心と対峙(たいじ)することになるといっても過言ではないでしょう。子どもの不登校の相談にのってくれる機関は、近年増えてきており、児童相談所や児童精神科のみならず、各学校の窓口、地域のフリースクールなどがあります。まず親が足を運び、信頼できるところへ継続的に相談をもちかけるとよいでしょう。

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六訂版 家庭医学大全科 「不登校」の解説

不登校
ふとうこう
School refusal
(子どもの病気)

どんな病気か

 不登校とは、何らかの症状や不安を訴えて、学校に行っていない状態を示す言葉です。

原因は何か

 原因は大きく分けて次の3つがあります。①親から離れることへの不安(分離不安)、②学校での失敗や叱責に対する不安や恐れ、③いじめ、です。

 これらに加え、子どもの年齢、性、学校環境、家族構成など、さまざまな要因が関係します。病気やけが、手術、学校の休み、旅行、転居、転校、クラス替え、友だちの転校、身内の人の病気や死亡、試験の失敗、教師による叱責、給食での偏食、仲間はずれ、いじめっ子による嫌がらせなどがきっかけになることが多く見受けられます。

症状の現れ方

 朝、いろいろな体の症状(頭が痛い、気持ちが悪い、おなかが痛い、ふらふらするなど)を訴えて、登校をしぶることから始まります。親に学校に行かなくてよいといわれるとおさまります。学校に行くようにいわれると、泣いたり、不機嫌になったり、暴れたり、部屋に閉じこもったり、食べなくなったりします。

 不安や(あせ)りを感じていたり、無気力でうつ状態になっていたりする場合もあります。慢性化すると昼夜逆転した生活となり、外出せず部屋に閉じこもり、学校に無関心になります。

検査と診断

 身体の病気や、うつ病などの精神の病気が原因となっている場合もあるため、医師の診察を受けることは必要です。

治療方法

 小学校低学年までの場合や不登校の初期では、親がついていくなどして登校をすすめていくうちに解決することが多いようです。しかし、小学校高学年以上のケースや慢性化したケースでは、子どもが登校しないことによって何を訴えようとしているのか、子どもは何を必要としているのかを考えることが大切です。

 学校に行かない理由がわからないうちに、安易に登校を促すのは無意味です。子どもの訴える不安や恐れを理解し、安心させるよう努めます。家庭や学校で、子どもにとって安心できるような環境をつくれるよう、調整することも大切です。不安が強い場合には、段階的に学校にもどるようにするとよいでしょう。

病気に気づいたらどうする

 さまざまな体の症状があり、子どもが登校を渋ることが続く場合、医師の診察を受けましょう。分離不安の場合には、子どもが慣れるのを待ちましょう。慣れるまで親がいっしょに登校するのもひとつの方法です。

 学校で恥をかくことに不安や恐怖を感じている場合、先生と話し合い、子どもに対して優しく接してもらうようにしましょう。親と学校の先生が協力して、いじめなど、不安や恐怖の原因となる状況をなくすよう努力しましょう。不安や恐怖感の強い子どもをがんばらせないことが大切です。

関口 進一郎


不登校
(こころの病気)

 不登校とは、文部科学省の定義によれば、年間30日以上の長期欠席者のうち「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により登校しない、あるいはしたくてもできない状況にある状態」とされています。

 主として小・中学生に対して用いられる言葉ですが、同様の状態は高校生、大学生にもめずらしくありません。かつては「学校恐怖症」あるいは「登校拒否」などと呼ばれましたが、病気や個人の問題というニュアンスを排除するため、現在は「不登校」というニュートラルな呼び名が定着しています。

 これは病名ではなく状態像であり、実際にその多くは治療を必要とせず、家族や学校関係者の適切な対応によって、適切な進路選択に至ります(「再登校」とは限らない)。

 しかし一部の事例では、学校をめぐる心理的葛藤から、対人恐怖、強迫症状、抑うつ気分、家庭内暴力、自殺企図(きと)などの症状が伴う場合もあり、また長期化して「ひきこもり」に至ることもあります。そうした傾向が顕著な場合に、専門家による治療や支援が必要となることもあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不登校」の意味・わかりやすい解説

不登校
ふとうこう

登校しない,あるいは登校したくてもできない状況。なんらかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,頭痛,腹痛,倦怠感などの身体的症状を含む拒否状態が生じる。病気や経済的理由によるものは除く。従来,不登校は学校ぎらい,登校拒否などと表現されていた。文部科学省は 1998年の学校基本調査から,年間 30日以上欠席した児童生徒の理由の分類のうち「学校ぎらい」を「不登校」に名称変更した。不登校の児童生徒数は年々増加し,2001年度の国公私立の小中学校の不登校者数は 13万8722人と過去最高を更新した。同年発表された学校基本調査によれば,不登校となった直接のきっかけは小学校では「本人の問題に起因」,中学校では「学校生活に起因」が最も多かった。不登校状態が継続している理由は小学校,中学校とも「不安など情緒的混乱」が最も多かった。文部科学省は支援と防止に取り組み,スクールカウンセラー配置の拡充や「心の教室相談員」の配置など,教育相談体制を整備した。一方で,不登校は疲労症候群や難治性睡眠障害などの身体的疾患であるとして,医学的な研究・治療も進められている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵 「不登校」の解説

不登校

広義には、学籍のある子ども(児童生徒)が、登校すべき日に登校しない日が多い状態。行政統計上は、病気や経済的理由など以外で長期に欠席をした者で、文部科学省が毎年5月1日現在で調べている学校基本調査においては、1990年度までは、年間50日以上欠席していた者を長期欠席者として計上しており、理由としては「学校嫌い」という用語が用いられて、それを登校拒否と呼んでいた。91年度からは、長期欠席扱いをする年間欠席日数が30日以上に変更になり、また、学校に行きたくても行かれない児童生徒も増えていることから、理由として「不登校」という言葉が使われるようになった。 教育学では、古くから、親の同意のない故意の欠席といった意味を表す怠学(truancy)という用語があるが、今日日本で問題になっている不登校は、理由の面からより広い概念である。不登校が長期化して、「ひきこもり」状態になる者が多いということもいわれており、その関連性が問題になっている。2005年度の不登校児童生徒の比率は、小学校0.32%、中学校1.13%で、統計上は減少傾向にある。

(新井郁男 上越教育大学名誉教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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