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守屋前次官の収賄 もりやぜんじかんのしゅうわい

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知恵蔵の解説

守屋前次官の収賄

2003年から07年まで4年間という異例の長期間、防衛事務次官を務めた防衛官僚中の実力者、守屋武昌前次官が07年11月28日東京地方検察庁特捜部に逮捕された。防衛専門の商社・山田洋行の宮崎元伸元専務(のち独立して日本ミライズ社長)から12回ゴルフ旅行の接待を受けたほか、妻と娘の口座に363万円の振り込みを受けていたとし収賄で起訴されたが、日帰りゴルフの接待は次官在任中だけでも百数十回に及んだと見られる。 山田洋行は1966年創立、70年代末期から防衛装備の輸入に特化し始めた従業員120人程の新興商社だったが、宮崎元伸専務が航空幕僚監部の装備部長だった田村秀昭空将に接近、同空将が退役後、89年に自民党参議院議員となる際、比例区での順位を上げるのに尽力したとされる。田村空将は防衛大学1期生で京大で工学博士号を得た技術系幹部の領袖(りょうしゅう)で、山田洋行は防衛族で自民党幹部の側近だった田村議員を背景に防衛庁で勢力を拡大、大商社に肩を並べて防衛省の入札資格Aランクの実績を持つようになった。 守屋前次官は防衛課先任部員(筆頭課長補佐)だった84年ごろから宮崎元専務と交際していた。有力防衛族議員の後援者である宮崎元専務は若手官僚にとって「目上の人」であり、予算や法案を通すための政界工作を得意とした守屋前次官にとって単なる業者ではなかったであろう。とはいえ次官在任中の4年間だけでも、旅行と日帰り計百数十回のゴルフなど、異様な癒着だったし、周囲を腹心で固めて有能な人物を排斥し、独裁色を強めていた。 守屋前次官が山田洋行に対して図った便宜は、(1)次期国産輸送機CXに同社が代理店だった米ゼネラルエレクトリック社のエンジンが採用されるよう影響力を発揮したのではないか、(2)海上哨戒ヘリコプターが対空ミサイルの狙いをそらすための「チャフ・フレアディスペンサー」の納入で同社が水増し請求したことが発覚した際、単に減額して再契約するだけにとどめるように働きかけたのではないか――などが疑われている。 自衛隊の装備は少量で特殊なため、1社だけが造っていたり、1商社しか扱っていない物が多く、06年度の防衛省の調達1兆3200億円(地方調達を除く)の70%が入札なしの随意契約だ。防衛省は業者の言い値で買い、見返りに年に100人近い将官、一佐が防衛産業、商社に天下りする癒着構造が成立しているが、その打破は容易ではない。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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