日本大百科全書(ニッポニカ) 「安芸平野」の意味・わかりやすい解説
安芸平野
あきへいや
高知県東部、安芸市の安芸川、伊尾木(いおき)川下流部に形成された低地。南は土佐湾に向かって三角状に開き、北は山地で遮られ、冬温暖である。大部分は両河川の乱流による扇状地性低地で傾斜もあり、乾田が多く、大正~昭和初期には水稲二期作が盛んであったが、現在は衰退。第二次世界大戦前から促成栽培やタバコ栽培が行われ、とくにナスを主にした高知県施設園芸の一中心地。山麓(さんろく)の内原野(うちはらの)などの段丘部でも溜池灌漑(ためいけかんがい)が発達し、海岸部の段丘面とともに施設園芸が盛んである。海岸砂丘地およびその背後の低湿地は市街地に利用されている。扇状地性低地面には条里地割り遺構を残し、島状の小丘は戦国時代に築城をみ、近世も土居(どい)として、小武家屋敷地区を形成、安芸郡の政治の中心地であった。
[大脇保彦]