定宿(読み)じょうやど

精選版 日本国語大辞典 「定宿」の意味・読み・例文・類語

じょう‐やど ヂャウ‥【定宿・常ジャウ宿】

〘名〙
① いつもきまって宿泊する宿屋。いつも泊まる宿屋。じょうしゅく。
※玉塵抄(1563)四三「鴉がいつもの定やどのとまる木にきてねよういをしていたぞ」
夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部「浪花講の御定宿(ヂャウヤド)はこちらでございます」
② いつもきまって遊興する茶屋。また、通いつけの揚屋。じょうしゅく。定屋。
浮世草子好色一代男(1682)五「定宿(デウヤド)をきはめ、大臣といはるる程の人、いかなる者か寝息とめし、其跡を肌馴るる事」
③ 高級な遊女が揚屋にもっている専用部屋。江戸時代、京都・大坂などの全盛遊女は、一軒の揚屋だけを指定し、遊客に会い、その揚屋に自分の部屋を定部屋(じょうべや)としてもっていることが多かった。じょうしゅく。
※浮世草子・好色一代男(1682)五「太夫市橋が定宿(デウヤド)、金の間も紙の腰張に替りぬ」

じょう‐しゅく ヂャウ‥【定宿】

〘名〙
① いつも決まって泊まるやど。じょうやど。
洒落本野路の多和言(1778)「我が所を定宿(ジャウシュク)にして束をあらため」
② いつも決まって遊興することにしている揚屋。じょうやど。
評判記・満散利久佐(1656)高雄「甚太郎定宿(ジャウシュク)女郎風義、別而(して)(よく)(はんべる)
③ 高級な遊女が指定して遊客と会う揚屋。また、その揚屋の中の専用の部屋。じょうやど。
※評判記・吉原すずめ(1667)下「その女郎のちゃうしゅくを、こなたにもちゃうあげやとせんこそ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「定宿」の意味・読み・例文・類語

じょう‐やど〔ヂヤウ‐|ジヤウ‐〕【定宿/常宿】

いつもきまって泊まる宿屋。
いつもきまって遊興する茶屋。
「―をきはめ、大臣と言はるるほどの人」〈浮・一代男・五〉
高級な遊女が揚屋の中にもつ専用の部屋。
「市橋が―、八畳敷の金の間は」〈浮・好色盛衰記〉

じょう‐しゅく〔ヂヤウ‐〕【定宿】

じょうやど」に同じ。

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