道行く人を自己,あるいは依頼者の商売の客とするために,任意の街路上で誘い寄せる行為,もしくは,それを生業とする人をいい,とくに売春などにからむ悪質なものは〈ぽん引〉とも呼ばれる。通常,店頭で大声を出し,任意の通行人の関心を引こうとする〈呼込み〉とは区別される。明治初年には,楊弓場や麦湯・甘酒屋の娘,あるいは人力車夫,乗合馬車の馬丁,さらには写真師が客引きの代表格とみなされたようであるが,1878年には,公衆の往来の安全と安心を妨害するかどで禁止されるようになった。今日でも事情は同じで,呼込みの規制は地方によりまちまちであるが,客引きはいずれの地方においても禁止されている(風俗営業等取締法および同法3条に基づく各都道府県の条例)。しかし,現在でも温泉をはじめとする観光地の駅頭にははっぴ姿の旅館の客引きが列をなし,夜の盛場には,いわゆるピンク・サロンや個室付浴場,あるいはブルー・フィルム上映や売春などとかかわる客引きが出没することは周知の事実となっている。
執筆者:高田 公理
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
菊の節供,九月節供,重九 (ちょうく) ともいう。五節供の一つ。旧暦9月9日の節供で,奈良時代より,宮中では天皇が紫宸殿に出御し,群臣に宴を賜わり詩歌文章をつくらせる菊花の宴が行われ,年中行事となった...