〈宿継〉とも書かれ,宿(しゆく)(宿駅,宿場)の間を順次,人馬を継ぎ立てながら逓送したことをいう。平安時代の中・末期には普及していた語と推察される。室町時代以降は〈宿送(しゆくおくり)〉とも称された。制度としては,平安時代なかばにはすでに衰退していた古代駅制にならって,鎌倉幕府が京都との連絡の便を目的として東海道の要所に宿駅を定め,使者や公物の確実な逓送のための人馬を常備したのにはじまる。鎌倉幕府はあわせて臨時職として宿次過書奉行(しゆくつぎかしよぶぎよう)を任命し,宿次の設備や人馬を利用するには奉行が発行する過所(書)を携行することが必要とされた。この職は室町幕府の職制では常置職となり,江戸時代には,いわゆる過書船の支配にあたった京都の宿次過書奉行に職名がうけつがれた。鎌倉時代初頭以来の宿次の制度・慣行の発達は人馬・物資の交流が繁くなるのと対応し,各地の街道筋の要所要所に宿場町の成長をうながした。
執筆者:横井 清
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