富士正晴(読み)フジ マサハル

20世紀日本人名事典 「富士正晴」の解説

富士 正晴
フジ マサハル

昭和期の小説家,詩人



生年
大正2(1913)年10月30日

没年
昭和62(1987)年7月15日

出生地
徳島県三好郡山城谷村

本名
富士 正明

学歴〔年〕
三高文科〔昭和10年〕中退

主な受賞名〔年〕
毎日出版文化賞(第22回)〔昭和43年〕「桂春団治」,大阪芸術賞〔昭和46年〕

経歴
三高在学中に竹内勝太郎を知り、また野間宏らと「三人」を創刊。退学後、大阪府庁や出版社などに勤め、昭和19年に中国へ出征し、21年復員。22年島尾敏雄らと「VIKING」を創刊。のち文筆生活に入る。代表作に「贋・久坂葉子伝」「小詩集」「帝国軍隊における学習・序」「たんぽぽの歌」「大河内伝次郎」「富士正晴詩集1932〜1978」などがある。水墨、彩画を趣味とする一方で、伊東静雄、竹内勝太郎、久坂葉子の研究をし、その紹介者としての功績もある。晩年は竹林に囲まれた自宅から殆ど外出せず、“竹林の仙人”と呼ばれた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士正晴」の意味・わかりやすい解説

富士正晴
ふじまさはる
(1913―1987)

詩人、小説家。徳島県出身。第三高等学校中退。在学中より象徴主義の詩人竹内勝太郎に師事。1932年(昭和7)その指導の下に野間宏(のまひろし)、桑原静雄と同人雑誌『三人』を創刊し、詩や評論、小説を書く。第二次世界大戦中は中国大陸に出征し、したたかな民衆の生命力を発見する。戦後は同人誌『VIKING(ヴアイキング)』を主宰。小説の代表作に『贋(にせ)・久坂葉子(くさかようこ)伝』(1956)、『帝国軍隊に於(お)ける学習・序』(1964)、毎日出版文化賞を受けた『桂(かつら)春団治』(1967)、詩集に『富士正晴詩集 1932~1978』(1979)など。自由闊達(かったつ)にして超俗的なその生活ぶりは、流行を追うのに忙しい文壇に対し一服の清涼剤でもあった。画業も余技以上のものがある。

[紅野謙介]

『『贋・久坂葉子伝』(1981・六興出版)』『『富士正晴詩集 1932~1978』(1979・泰流社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「富士正晴」の解説

富士正晴 ふじ-まさはる

1913-1987 昭和時代の詩人,小説家。
大正2年10月30日生まれ。詩人竹内勝太郎に師事。昭和7年野間宏(ひろし),桑原(竹之内)静雄と同人雑誌「三人」を創刊し,詩・小説を発表。22年島尾敏雄らと「VIKING」を創刊。昭和62年7月15日死去。73歳。徳島県出身。第三高等学校中退。本名は正明。著作に小説「贋(にせ)・久坂葉子伝」,評伝「桂春団治」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「富士正晴」の解説

富士 正晴 (ふじ まさはる)

生年月日:1913年10月30日
昭和時代の小説家;詩人
1987年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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