日本大百科全書(ニッポニカ) 「竹内勝太郎」の意味・わかりやすい解説
竹内勝太郎
たけうちかつたろう
(1894―1935)
詩人。京都市に生まれる。家庭不和という不幸な生い立ちのため旧制中学2年で中退。以後、夜学でフランス語を学ぶ。初め三木露風(ろふう)に師事するが、のち離反。1928年(昭和3)渡欧、バレリー、アランの存在を知る。帰国後、象徴主義の詩集『明日(あす)』(1931)を刊行。35年、正当な評価を受けぬまま黒部峡谷で遭難死したが、現在では日本の象徴主義詩人のなかで重要な存在とみられている。没後、詩集『春の犠牲』(1941)、『黒豹(くろひょう)』(1953)などが出版された。ほかに芸術論、芸術民俗学などに注目すべき著作がある。晩年の弟子に野間宏(ひろし)、富士正晴(まさはる)などがいる。
[紅野謙介]
『『竹内勝太郎全集』全三巻(1967~68・思潮社)』